鍵 (花とゆめCOMICS)
収録作品「アルカロイド」中に出てくる科白の、
「毒を食らわば皿まで」というもの。
これは、望月花梨の作品全体に漂う雰囲気と
何処か通じている言葉かもしれない。
微妙な年齢の少女が織りなす、繊細な心模様。
恋。秘密。欲望。孤独。鬱憤。…などなどなど。
読んでいて、少女達が小憎らしかったり、
こんな子いたらヤダよ!って思ったりするのに、
それらがみな、すーんと身体に馴染むのは、
自分が望月ワールドに浸ってしまっているからだと思う。
毒を食らわば皿まで。
どれかひとつ、望月作品に嵌ってしまったら最後。
その毒に、身体がいつしか沈んでいってしまうのです。
それは勿論、喜んで、の話ですが。
欲望バス (白泉社文庫)
私が望月花梨という作家を知ったのは彼女がもう漫画を描くのを辞めてしまってからでしたが、初めて読んだのがこの欲望バスの単行本でした。
中学生やそれより幼い子供達の、幼いが故の残酷さや繊細さ、脆さを、ここまで上手く切り取ってそして漫画という形で表現できる作家さんは少数だと思います。
決して目を引くような華やかな絵柄では無いと思うのですが、それでも何度も何度も読み返してしまうのは、彼女の作品の登場人物達の感情の動きや行動に引き込まれ、その表現の仕方が素晴らしいからだと思います。
モノローグがとても綺麗で、いつまでも心に残るような言葉が沢山ちりばめられている本です。
この後に発表した作品も、強い中毒性のあるものばかりな作家さんですが、欲望バスはその中でもとくに痛くて綺麗な話が詰め込まれていると思います。
是非読んで見てほしいです。