突然炎のごとく〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選9〕 [DVD]
TVドラマの副音声のように、登場人物の心理状態を解説したナレーションがしつこいほど挿入される。同じジャンヌ・モローが愛に満たされない女を演じたアントニオーニの「夜」と比べると、映画はきわめて饒舌だ。アントニオーニが多くを語らず観客を突き放す演出をするのに対し、トリュフォーは作品に対する自由な解釈を一切許さない。観客に対する信頼度の温度差を思わず感じてしまう。
かつて三國清三が「君の料理は洗練さに欠ける」という批判をフレンチの大御所トロワグロから受けたという話を聞いたことがある。この場合の洗練とは<無駄な部分をそぎ落とすことによって自然と身につく優雅さ>とでも言い換えればいいだろうか。その意味で、アントニオーニに感じる洗練さが、トリュフォーの本作品には欠けている。饒舌なナレーション、ストップモーション、ドキュメンタリー映像の混入など、実験的な試みが多分になされているが、本作品をかえって野暮ったく見せてしまっている。
それまでのフランス映画を徹底的にこきおろし自らメガホンを握るようになった経歴を持つトリュフォーにとって、初期の頃の作品には肩に無駄な力が相当入っていたにちがいない。友人同士の男の間で揺れ動く奔放な女。なんでも欲しがるカトリーヌの無節操ぶりと、トリュフォーの野暮な演出は意外とマッチしていたのかもしれない。
プレイズ,ニーノ・ロータ
もともと映画音楽のファンではない。ただ映画は好きなので見に行ったり、DVDで見たら、いい音楽は心に残る。で、このCDを聞くと僕の心に残っている名曲はほとんど「このお方」の作品であることが判明。こうしてみるとすごいですね。
個人的には「太陽がいっぱい」が思い出とともにNO.1ですね。