マンガ コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?
管理会計をどう経営に生かすかを漫画とストーリ仕立てで、非常に分かりやすく紹介した良書。
小説版より良いかも?
決算書を見て利益を見るだけでは、儲かっているかどうかを判断する事は出来ない。利益は決して良いものだけでなく、質の悪い利益が存在している。質の悪い利益とは、本書の言葉を借りるならキャッシュフローの裏付けがない利益である。
つまり、キャッシュフローに着目して経営をしろというのが本書のコンセプトであろう。
一般的に(営業)キャッシュフローを改善するためには、以下の4つが考えられる。
(1)利益を増やす。
(2)回収条件を早くする
(3)支払い条件を遅くする
(4)そして、在庫を減らす
本書は主に(4)に重点が置かれていた。
具体的には、生産工程と販売行程で生じた在庫を以下の要領で減らすストーリが出てくる。
たかがこれだけと思うかもしれないが、在庫を半分に減らすだけで経営へのインパクトは絶大だ。
(1)小ロット生産に切り替え、各工程での仕掛品の滞留を減らした。
(2)多品種大量生産を改め、売れ筋商品を見極めて在庫を減らした。
(3)受注から納品までのリードタイムを短くする。
参考になるのは、この改善策のきっかけにもなった経営情報だった。
実務としても、これらの経営情報を把握しておく事は非常に重要そうだ。
''1. 商品別に算出した現金増加力=粗利率(=売上/売上原価)×回転数(=売上原価/在庫)=売上/在庫
''2. 月末の在庫を参考にするのではなく、月の延べ在庫を参考にする。
なお、すでに読んでいる人も多いだろうが、著書も含めてこれまでの「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか」「美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか」にはおそらく元ネタがある。
それは、TOC(Theory of Constraints:制約理論)の提唱者であるエリヤフ・M・ゴールドラット博士が著した「ザ・ゴール」から「ザ・クリスタルボール」までのTOCシリーズである。
こちらも漫画ではないが小説仕立てとなっているため、非常に分かりやすい。
そして、著書では深く取り扱っていない、売上と在庫のジレンマや、具体的な改善手順までが書かれているので、興味がある方は是非読んで見て欲しい。