クライマーズ・ハイ オリジナル・サウンドトラック
私がこの映画が好きになった理由は、そもそもこのサントラにも収録されている「486段」を聞いたからである。映画では、オープニングのタイトルバックで、ピアノによるこの曲が流れる。残念ながら、このアルバムの「486段」はトランペットと弦楽奏によるものだった。ちなみに、ピアノのフレーズはラストの方に収録されている「クライマーズ・ハイ(テーマ)に部分的に入っている。最初は「なんか違うなあ」と思ったが、今では、これはこれで良いのかな、という感じになった。あと「モナリザ」がカバーなのは致し方なし。あくまでボーナストラック、おまけみたいなもんだと諦めた。以上の細かい点を除けば、全体的に素晴らしいメロディラインで構成された、良質のサントラだと思います。このアルバムを聞きながら、関越を飛ばして水上ICで降り、谷川岳を見上げながら、そして土合駅の方に向かいながら聞くと、何とも感慨深いものを感じる。あくまでこの映画に一定以上の評価を与えていれば、の話だが。
クライマーズ・ハイ [DVD]
原作は読んだのですが、NHKで放送されたのは知らずに、たまたまDVDを見つけたので購入しました。素晴らしいです。見ごたえがあります。原作同様感動します。原作を読んで感ずる所のあった方、是非見てください。大きい命と小さい命のエピソードで機内での走り書きの遺書が出てきますが、実際にこの便に乗っていた方達の恐怖と無念の気持ちは、計り知れないものがあります。あらためてご冥福をお祈り致します。
クライマーズ・ハイ (文春文庫)
誰もが知っている御巣鷹山日航ジャンボ機墜落事故を背景に、一人の新聞記者の
行動を描いている。
この小説がリアルに感じるのは、生々しい事故現場へ主人公が出向かず、
直接的な描写が少ないことだろうか。
そして、作者が元新聞記者であったこと。
故に事故に関しても新聞社に関しても、描写が詳細でリアリティがある。
だから主人公に感情移入しやすいのだろうか。
主人公は、決定的なスクープを逃すことになるし、大活躍するわけではない。
しかし、この人間味のあふれる平凡な主人公に共感する人も多いのではないか。
この小説は、ジャンボ機事故を主題にしてはいない。
事故と報道、その報道に関わる者達の人間模様だ。
横山秀夫作品のなかでも、特に好きな一作である。
クライマーズ・ハイ [Blu-ray]
本作は、日航123便の事故をセンセーショナルに描いたものではない。地元新聞社(モデルは上毛新聞)の記者を通しての「あの長い夏」の記憶だ。とにかく全編に漂う緊張感がタダものではない。皆が本当に、現場にいた新聞記者に見えてくるのだ。実直だが一本芯の通った堤真一、クールな熱血漢の堺雅人のすさまじいまでの気迫と、エンケンやでんでんの味のある妙技。そして山崎努の圧倒的な芝居。すべてに驚かされた。新聞社員や自衛隊の役もエキストラは使わず、俳優オンリーで通したことが成功要因だろう。また「殯の森」で見事な芝居を見せた尾野真千子が、カッコいい女性記者を颯爽と演じていたのが印象的だった。加えて、事故現場の凄惨さを再現していて、当時の陰鬱な気持ちを思い出した。忘れてはいけない記憶を映画が紡ぐ、というのは「活動写真」の役割のひとつだと思う。原田監督の作品はどこかアメリカナイズされたものが多く「大好き」といえるものがなかったが、本作は掛け値なしに凄いシャシンだ。現在までの原田組の最高傑作と断言してしまおう。デ・パルマなみの事故発覚シーンの長廻しワンカットも見どころだ。2008年の日本作品では最上位の1本といえよう。ぜひ観てください。