彩~アニヴァーサリー・アルバム
NHKのラジオ深夜便で 偶然 前橋汀子さんのインタビューを聞き、うとうとしていたのが、すっかり目が覚めてしまいました。ずっと以前から 前橋さんのことはもちろん存じ上げていましたが、なんとなく 近寄りがたい、雲の上の存在、孤高のバイオリニスト、という勝手なイメージを作り上げていました。でも、彼女の受け答えを聞いているうち、だんだん彼女の人となりがわかり、親しみさえ感じ、さらに 大ファンになってしまいました。彼女の演奏はそんなに聞いたことがなかったのにです。インタビュアーのかなりぶしつけな質問にも、大人の余裕でもって受け答えし、
流されず、媚びず、凛とした自我を印象付けておられました。あくる朝、私は迷うことなく彼女の50周年記念CDを買い求めるべく、オーダーしました。彼女に演奏は素晴らしく,感動的でした。一日一回は聞いています。
斎藤秀雄 講義録
サイトウキネンは知っているけれど、小澤征爾さんも知っているけれど、
いったい齋藤秀雄先生ってどんな教えをされていた方なんだろう・・と
ずーっと長年知りたくてたまりませんでした。
そんな人には、ほんとに目から鱗の本です。
バッハの解釈も、モーツァルトやベートーヴェンの解釈も、その時代にはこんな流れもあったから、ベートーヴェンはこうしたんだよ。モーツァルトは「洒落」
ロマン派を経験して今がある・・だから現代の解釈というものは、このような解釈であって良いのだということが、
大きな裏づけと共にいっぱい書いてあります。
クレッシェンドだけでも、このような種類があり、そのようなことを箱根の山にたとえていらっしゃる。
曲の展開の仕方、メロディのフレーズの考え方も、非常にわかりやすい例えが書いてあって、これがヒントだよ。あとは自分でやってごらん!とやさしく言われているように感じます。
この本は、とてもわかりやすく、編集に関わったメンバーをご覧になればわかる通り、先生の言葉に忠実にやさしく書かれてあります。
この本を読めば、音楽理論の大学の授業は要らない・・
こんなに楽しい授業を受けてみたい!自分自身も齋藤先生の講義を受けている気持ちになってしまうほど、虜になりますよ!
前橋汀子 ベスト・コレクション
前橋汀子さんの最新アルバムです。The Best Collection とありますように、これまでの演奏活動の集大成版です。1984年から2000年に収録された100曲ほどのヴァイオリン曲から厳選された18曲だそうです。「解説」で諸石幸生さんが言われているように「音楽家としての懐を確実に豊かに、逞しくしてきた前橋さんの演奏は、何より自然で、また輝かしく、温かい。技巧や音色、解釈や個性といったものが単純で際立つのではなく一本の幹に集約され、演奏全体が人間の言葉のように朗々と響きわたり聴き手を包み込み、憩わせ、夢に誘う」のです。いつも全身全霊を傾けて演奏する前橋さんの演奏を髣髴とさせる名盤です。
チャイコフスキー&メンデルスゾーン
音楽自体はそれほど深いものでもないので、軽く楽しむには好適。前橋氏の特徴がよく表われているのがメンデルスゾーンで、冒頭のあの退屈なメロディーが彼女の手にかかると非常な情感を持って響いてくる。