生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言【DVD】
「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」、長いタイトルである。毛沢東の文化大革命時代の紅衛兵のある集団名から取ったと言われるこのタイトルを聞いて、人はどんな映画を連想するのか?。
「略称・党宣言」とも言われる今作は、日本映画では極めて稀な原発ジプシーと呼ばれる原発作業者たちの過酷な現状と原発の闇をえぐり出した作品として、反原発の気運高まる昨今、その評価が高まっているよう思える映画である。
だが、ちょっと待って頂きたいと映画ファンの端くれとして言いたい。
確かに、今作の主人公原田芳雄はやくざくずれの原発ジプシーとして登場。彼をフィルターにして描かれる彼らを巡る劣悪な作業環境と過酷なピンハネ、安全度外視の危険作業にやくざの釜が崎からの作業者一本釣りなど世間ではタブー視されていた部分がたっぷりと描写されているが、だからと言って、今作はただの社会派映画では断じてない(ある側面としてはもちろんあるが)。
ここで蠢いているのは、原発の町に肩寄せ合い集まっている人々。即ち、ドサ廻りのズ―ド・ダンサー、やくざ、暴力団から逃げた少女、フィリピンからの出稼ぎ娘、不良中学生と教師、そして原発ジプシーたち。
彼らの悲喜こもごもの日常を、活劇、恋愛、人間ドラマと言った映画的な味付けも盛り込みながら、いかにも森崎東らしい猥雑でパワフルな喜劇としてダイナミックに描いているのだ。
原発ジプシーだけでなくじゃぱゆきさんも取り上げられているが、威光高にメッセージを発している訳ではなくて、飽くまで底辺に生きる人たちへの人間賛歌になっている。
題材が題材だけに、製作会社、配給会社が何年も中々決まらなかったと言う辛苦を背負った映画だが、原田芳雄以外にも倍賞美津子、梅宮辰夫、平田満、泉谷しげる、左とん平らの豪華出演陣が参加。
その年のキネ旬ベスト10にもランクインされた傑作。60年代から松竹で山田洋次と並んで「男はつらいよ」シリーズを手掛けながら、反公序良俗的な要素を以て、山田のアンチテーゼと称された森崎東節を、是非堪能頂きたい。
あの頃映画 松竹DVDコレクション 「われに撃つ用意あり READY TO SHOOT」
全共闘時代への憧憬と評されることが多い本作だが、90年代初頭の歌舞伎町ロケの素晴らしさも魅力の一つ。
原作(佐々木譲「新宿のありふれた夜(または、真夜中の遠い彼方)」)を大きく外れず、若松孝二監督のストレートな作家性
は薄まっているが、原田芳雄と豪華バイプレーヤー陣がこの歌舞伎町に配置されると、それだけでこの街の熱さが
伝わるようだ。
竜馬暗殺 [DVD]
1974年制作のもの。
竜馬暗殺の3日前、竜馬がふんどしおケツ丸出しで近江屋へ移動するシーンから始まります。
原田芳雄演ずる竜馬は今まで見た龍馬ものの中で、一番龍馬くささがピッタリくるかも知れない。(あくまで私のイメージです)
脚本もすごい良いかも知れない。
なにより、石橋蓮司演ずる中岡慎太郎が超キューーーート。
竜馬の命を狙いつつどうしても殺れず陸援隊の部下に攻められたり、竜馬と意見対立しつつも竜馬を慕ってどうしょうもない、ここまでナイスな慎太も初めて!!
そしてそして、松田優作演ずる「右太」という少し頭の足りない刺客が良い。
シュールでサイケでキュートでなまぐさい素晴らしい作品です。
♪ええじゃないかええじゃないか♪