ヴァイオリン・ロマンス
ヴァイオリニスト、ピンカス・ズッカーマンの小品を集めたアルバム。この
種の定番であるベートーヴェンの2曲のロマンスのほか珍しいシューベルトの
ヴァイオリン協奏曲風の作品が3曲も収められている。シューベルト目的に買
ってもいいのではないでしょうか。
4大ヴァイオリン協奏曲集
なんといっても目玉は、ミルシテインが弾いた3曲。
彼の演奏は、どちらかというとクールに速いテンポでスラスラと弾いていくタイプだが。この魅力は、いわゆる「濃厚な節回し」とか「たっぷりとした音色」などが持ち味のヴァイオリニストからは聴くことはできない。同じく“クールな演奏”とよく言われるハイフェッツという超人が同方向の演奏家として君臨しているだけに、幾分割を食っている面もあるのだが、ここで聴かれる彼のヴァイオリン演奏は、あの超人の演奏に全く引けを取らない。
中でもブラームスの演奏が出色の出来だ。何より音程が素晴らしい、やたらとアクセントなどはつけていない分余計そう感じる。メンコンなどは音程と音色が命の作品だけに、彼の演奏は作品の要求に完全に合致していると感じさせられる。
付け足しのようになってしまったがズッカーマンのベートーベンもスタンダードとして押せる十分な演奏。
これだけのハイレベルの演奏によって一気に四曲聴けてしまうCDはそうはないはず。