青い花 第5巻 [DVD]
全5巻にて完結ですが、物語としては全然「プロローグ(序章)」ですね。
幼馴染のあーちゃんとふみちゃんが再会して、ふみちゃんが自身の初恋の相手はあーちゃんだったと気付くまでのお話。
所謂、女の子が女の子に恋する「百合系」の作品ではあるのですが、この系統の代表作「マリア様がみてる」とは違い、
女の子が女の子に恋することが「気持ち悪い・おかしい」という世間に蔓延する視線が当然にあることを示唆しています。
前述の「マリア様がみてる」では女の子が女の子に恋することは「極めて自然」と描写され、そこに「気持ち悪い」だとか、
「おかしい」だとかいう批判や差別の視線は入ってこないのです。だから、ある意味「ファンタジー(幻想)」なんですね。
現実的なお話ではなく、おとぎ話に近いのです。
そして女子オンリーの「マリア様がみてる」とは異なり、普通に男女の恋愛も平行して描いている点も特筆。
女子同士の関係ばかりがクローズアップされますが、世の中で「通常」は男女の恋愛関係が王道であり、
「同性愛」はやはり「異端」の扱いを受けるのだということです。それを作中で示唆しております。
物語としては全5巻でも「導入部」に過ぎません。
むしろここからが「本番」でしょう。だから第2期があって欲しいような気がします。
舞台が「鎌倉」という実際の地名を特定しているのも「現実感」を出すための演出でしょう。
主人公たちが通う高校は架空のものでも、駅・喫茶店等は現実にあるものが登場するのです。
鎌倉駅・由比ガ浜・江ノ電・江ノ島等・・・・・・・実在の風景を柔らかなタッチの絵で映し出しています。
「詩的」な作品のイメージにピッタリと合います。
これまでの作品にはなかった「現実的な視点での百合」を描いた作品として一見の価値ある作品でした。
青い花 第3巻 [DVD]
鎌倉を舞台に誰にでもあったはずの思春期からの異性・同性に対する愛情と友情の狭間を、真剣に、でも誰にでもそうかと思えるようなストーリーが続きます。
決して結論が出るテーマではないのですが、こういった青春もあるという一例をだれもが言ったことがあるかもしれない、またはテレビや映画で見たことがある場所”鎌倉”が情感を引き立てており、一般紙では見ることが出来ない漫画が原作ということも興味を引き立てることでしょう。
青い花 1巻 (F×COMICS)
志村貴子という漫画家は、ちょっとおかしな設定でのリアルな日常をサラリと描くひとです。
本作では、同性愛の女の子と、同性愛ではない女の子との友情を、たっぷりの日常とともに描いてあります。
ちょっとした仕草がほんとうにかわいらしく、
他のレビュアーの方が仰るとおり、叫んでしまいそうになります。
もしくは、クゥーっと喉を鳴らしてしまうというか。
そんなかわいらしい仕草も、現実離れせず、興ざめさせず、
絶妙なバランスを保っています。
必要なものしかコマの中に登場させない画風は、温かみのあるストーリーや
キャラクターの掛け合いとこれ以上ないくらいマッチしています。
いわゆる少女マンガ絵ではなく、
かといって少年誌の格闘漫画のような絵でもなく、
「暖かい」「柔らかい」「優しい」といった形容詞がぴったりな線が特徴です。
ぜひ、多くの方に志村貴子の作風を一度味わっていただきたいものです。
もし好みが合えば、他の作品、特に「放浪息子」などもオススメです。
・・・少々好みが分かれる作風ではあります。
しかし、「さらさら」「ゆったり」というような感覚が好きな方には是非試していただきたい作品です。
放浪息子 12 (ビームコミックス)
どこかで「シュウが高校受験に失敗!髪を染める!」とか読んだ記憶があり、連載を見ていない私は「ドロップアウト??荒れるのか??」と心配していたので・・・早速購入してしまいました。(笑)
慌てて読んで見ると・・・事実関係はその通りだったのですが・・・基本的には11巻の延長で「悪い話」は杞憂だったのでご心配なく・・・ 全体としては中学3年生の秋から高校入学までの「怒濤の半年間」のエピソードですね。
正直に言うと前半はかなりせわしないと感じる展開で、今までは無かった作画の乱れも少しありますが、後半は持ち直してくれました。但し・・・この年代の少年少女は日々変貌を遂げていきますから、その点をリアルに描いた結果かも知れません・・・。特に、男の子なんて、15〜6歳の頃と18歳では全くの別人になってしまうのが「普通」ですからね・・・。
(この点に関して、作中で「末広安那」がつぶやく言葉が実に切実・・・。)
「千葉さん」と「高槻君」はもはや大親友ですし、ますます「丸くなる千葉さん」も見所。(笑)
そして・・・「少年」から「青年」への入り口に立ったシュウは、「ユキさん」を「理想」として生きてゆくのか???
「帯」に書かれているように、シュウ達の「ゆくさき」に目が離せない・・・波乱の日々の幕開けが描かれる12巻です!!