紙風船 [DVD]
本作は東京学藝大学とアミューズが作り上げた「学生映画」だ。
しかし映研の数多ある作品と違うのは、俳優が本物であることだろう。
野球でプロと社会人が戦うようなもので、試み自体は新鮮だと思う。
演出・脚本ともに甘く浅いのが残念だが、俳優たちも学生とのコラボを
楽しんでいるように見える。
4人の監督が4本の短編をつなぎ合わせていくのだが、各編ともに本編でも
ピンが取れる俳優が出演しているのがよい。
大後寿々花は「SAYURI」の頃がウソみたいに女っぽくなった。
メイキングで「撮影が暑くて大変だった」と語っているが、湘南&江の島を
バックに演じるのは故郷・神奈川ということでやりやすかったのではないか。
邦画史に残る傑作と思う「女の子ものがたり」以降、より女優としても磨きがかかって
いる。今後も楽しみだ。
また高橋真唯がオトナになっていたのもビックリした。
「シムソンズ」のイメージがずっと残っているからだろうが、ドレス姿には
ドキッとさせられた。こういう役が演じられるならば、これからも良いシャシンに
恵まれるのでは・・・
仲村トオルはいつもの「セントラルアーツ」芝居じゃなくて(笑)、フラットな
立ち回りがよかった。
他にも佐津川愛美や水橋研二、緒川たまきに富田靖子、光石研まで普通の職業監督
だってのどから手がでるくらいに欲しい役者陣だから、そのアンサンブルだけ観ていても
楽しい。
特典映像はメイキングと舞台挨拶が収録されている。星は3つです。
人情紙風船 [DVD]
邪険に扱われ裏切られても毛利にすがるしかない、浪人海野。
小悪党ながら、何処か憎めない粋な江戸っ子、髪結新三。
立派な家に生まれ育ったが故に貧しい者を理解できない、白子屋お駒。
どんなに落ちぶれても武士の精神は忘れない、海野の妻おたき。
…様々な人物の行く末を紙風船がジッと見つめています。
この映画に出会って、山中貞雄とゆう人を知って
私の人生も変わってしまった感があります。
これが遺作とはチトサビシイ。