Mac OS X Internals: A Systems Approach
この本、高かったんですが、買ってよかったと思います。商用のOS についてここまで詳しくアーキテクチャの詳細について書かれていて感動しました。この本が書かれたのはTigerの頃(?)だったと思いますが、改訂版が出ないのはIntel対応部分が詳しく書けないということでしょうか。とにかく改訂版がまた出たら、その時は買いたいです。
きみの知らないところで世界は動く
この作品は片山ワールドの原点だとよく言われます。
確かにそうです。片山さんのファンである私も、
読んでる内に、「あ、ここのシーンあの作品と似てる!」とか、
「なるほど、片山さんらしい表現だなぁ。」と思うことが
しばしばありました。
そういう意味で、片山さんのファンの人にはお勧めですね。
しかし、一味違うところもあります。
どこか雰囲気が違うのです。
片山さんの作品の特徴として「あっさり」した短さみたいなものが
ありますが、これにはそれがなく、
「愛」「生」「死」というテーマについて、どっしり考えた感があります。
ただ、この作品は「死」「喪失」という雰囲気は少し薄いかな・・・
ある意味大切な人が死ぬんですけどねぇ。
でも片山シリーズの中で1.2を争う名作です。
ぜひ読んでください!!
きみの知らないところで世界は動く (小学館文庫)
片山作品の中では一番おもしろいのではないかと思います。
話のベース(テーマ)は「世界の中心で~」と同じかと思うのですが、
こちらの方がより深みがあります。
感情移入するに十分な程度のボリュームがあります。
(「世界の中心で~」はちょっと薄いと思いました)
話は「ぼく」の視点で語られるのですが、他の片山作品はどこか
説明くさいところがあったのですが、この作品は「ぼく」の文章で
語られるため、わかりやすく読みやすくなっています。
特にジーコとのやり取りは思わず笑ってしまうところがあります。
このジーコという少年は、人と違う考えを持っていて、普通の人は
遠ざける存在であるのですが、彼のみが真実を悟っています。
カヲルの心の闇に気づいていたのは彼だけでした。
随所で彼の哲学が語られるのですが、これが妙に納得させられます。
結婚の哲学・将来の哲学・戦争の哲学などなど。
作者は普段そんなことを考えているのかと思ってしまいました。
彼の存在がこの作品に深みをもたせています。
ただ、やはり片山作品のよくないところ、大事な場面が読者の想像に
任される点は健在です。
3人でホテルに泊まったときの最後に何があったのか、カヲルの父親は
「ぼく」を最終的にどう思ったのか、ジーコの死によってなぜカヲルは
前向きになったのか。
自分で解釈するしかありません。
とにかく、「世界の中心で~」を読んで多少でもいいと思った方なら、
この作品を強くおすすめできます。