秋日和
赤瀬川氏の著作の予備知識をな~んにも持たずに手にした本でした。落ち着いた語り口で、すいすい読めてしまいました。10の短編です。人生も半ばを過ぎたおじさん達の恋心。おじさんだって恋を語る。濡れ場のシーンはなし。あくまでも淡々とその女性への想いを描く。「約束の手紙」の岸田完治は若き日の恋ともう一度出会い、自分の手でそれを葬ることになる。「真珠の便り」の北川典彦と矢川町子の出会いと別れ、そして再会。「夏の航跡」の佐保邦彦はほんの数時間の恋をする。これが洒落てて、好きでした。普通の恋愛小説のように、すったもんだもなく、醜い修羅場もなく、すごく美しくはないけれど、ぽっと心に灯がともるように、ひとを好きだと思うのはいいなあと思いました。
王国燃ゆ―小説大友宗麟 (人物文庫)
戦国武将並びに女性のキリシタン人物の小説は数多く読んだが、これほど当時のキリスト教を背景にした小説は初めてだ。キリシタンになったばっかりに儚くも悲しく人生とは何かを問いかけてくる。歴史小説206作品目の感想。
赤瀬川原平の名画探険 フェルメ-ルの眼
音読した(約40分)。抜群に文章がうまい。
現在世界に36点しかないといわれるフェルメールの絵を赤瀬川さんの案内で鑑賞。
赤瀬川さんはフェルメールを「カメラができる前の写真家」と呼び,科学者の目を彼の特徴として指摘する。「目の物理的な効果」「心理的な人間効果」がそこでのキーワードだ。
この画家の絵について多くのことを学んだ。視線のリアリティさとその構図的意味合い,「デルフトの風景」での2人の点景人物が果たす役割,左の窓から入る光線の効果,大胆な粗いタッチの新鮮さ,など。
また,よく描かれたのは若い女性,手紙,地図,カーテンなどであるという。女性の笑顔の絵が多いのもこの時期の絵画としては珍しいとか。「真珠の耳飾の女」は映画化されたが,いい映画だった。
光村ライブラリー・中学校編 2巻 車掌の本分 ほか
「車掌の本分」を中学のとき、教科書で読んだときは衝撃的でした。
お猿さんの話かっ!というのもありましたが、
人生で初めて「働く」「モチベーション」といったことを
意識した瞬間かもしれません。
なので、仕事でちょっとつまずいたとき、
読み返したいなぁ、と思うことがあったのですが
文庫は絶版のようで入手できず、残念な思いをしていました。
ところが、ある日、あきらめずに検索していたらこの本を発見。
車掌の本分意外にも、いい作品がはいっていておもしろかったです。
それと活字も教科書体でなつかしい雰囲気を
味わうことができました。