モテたい理由 (講談社現代新書)
文章の語り口が面白く、次々に読み進められる本である(ただし最後の章は理解不能)。主に女性向け雑誌からの恋愛論である。これを読むと男には理解できないブームや現象の理由がわかる。また恋愛がいかにビジネスに利用されているかがわかる。それにしても女性向け雑誌と言うのは全ての記事が恋愛に通ずると言っていいほど恋愛原理主義的に作られているようで、しかもその恋愛と言うのが相手の男を愛すると言うより、周りの羨望を集めることでいかに自己満足するかということに主眼が置かれているようだ。思うに本当の恋愛と言うのはごく一部の人しかできない希少なものだと思うのだが、あまりに恋愛が商業市場化した現代日本では、例えばバレンタインデーやクリスマスの騒ぎなど恋愛に縁のないものは引きこもりたくなるような息苦しさを感じる。
ヴァイブレータ スペシャル・エディション [DVD]
30代、幼少期のトラウマを抱えた孤独な女性の繊細な感情の揺れは、そうそう一言では表現できない。文字の世界で生きている女性、というのもポイントでしょう。人からみると、どうでもよさそうな小さなことが、ひりひりと彼女の身には沁み、意味を見いだしてしまう。
傍から見るととても厄介な女ですよね。
これはあくまでも寺島しのぶ演じる主人公の眼からみた物語で、ある意味ひとりよがりな気もします。
でも、それだからこそ、とてもリアルで、痛々しい。正直、これに共感してしまう自分を否定したくなりました。男性には分かりづらい心理かも・・。
蝶の皮膚の下
セックスを非日常的な出来事として描いている。梨花は航(わたる)とは、名前も知らないうちに寝てしまう。ホテル?と一言誘われてラブホテルに行ってしまう必然だという説明描写がある。その後の、航の霊感的な障害は、セックスの説明というか、言い訳のように思える。
また、梨花は岡野ともすぐに寝る。そこにも言い訳がある。航のために仕方がない、と。しかしそんなわけがない。この物語は、セックスとドラッグと暴力とアルコールを言い訳した小説である。
梨花という女は恐ろしい。まだ言い訳しているうちはいい。この子がそのうち言い訳をしなくなりそうに予感できて、恐ろしい。
文藝 2011年 05月号 [雑誌]
特集 森見登美彦
稲葉真弓「春そこから皮膚が」
中村文則「王国」
山崎ナオコーラ「ニキの屈辱」
綿矢りさ「トイレの懺悔室」
小学生の時、「おれ」は友達と共に近所で知り合った親父(おやじ)に、
キリスト教のまねごとをして、懺悔をさせられる。
社会人になって、再び友達と親父に会いに行くが、意外な真相が明らかになる。
秘密を知る者と知られる者の間には支配、被支配という関係が成り立つが、
それが逆転するとき、おぞましい事態を招くことに。
ホラー風の短編小説であるが、人の心理に焦点をあてた作品。
「この小さな懺悔室には、一体なにが宿ってしまったのだろう。
この場所にため込まれた数々の罪は、一体誰が浄化するのだろう。」