バッハ:カンタータ全集(5)
現在進行中のバッハ・コレギウム・ジャパンによるカンタータ全集の第5巻。ヴァイマール時代のカンタータである18番「あたかも雨や雪が天より下り」、152番「出で立て、信仰の道に」、155番「わが神よ、いつまで、ああいつまでか」、161番「来れ、汝甘き死の時よ」、143番「主を讃美せよ、私の魂よ」が収録されている。ソリストは鈴木美登里(S)、イングリット・シュミットヒューゼン(S)、米良美一(CT)、桜田亮(T)、ペーター・コーイ(B)。
鈴木の軽やかで爽やかな歌声は、高音域ではほんの少し張り詰めた感じに響くが、澄み渡った雰囲気には清潔感がある。米良はふんわりと響くような高音域も素晴らしいが、161番の冒頭で歌うアリアでの、中音域の深い響きの滑らかな肌触りは特筆に価するのではないか。そして、柔らかな米良の歌声としなやかで華のある櫻田の歌声の相性が、非常に素晴らしい。155番での二重唱をぜひ聞いてもらいたい。コーイの力強くも包容力のある温かな歌唱には、安定したゆとりが感じられる。ヴェテランのコーイの存在が全体を巧く纏めている。
152番と161番で使われるリコーダーの牧歌的で鄙びた音色が、何とも言えない物悲しい雰囲気をかもし出しており印象に残る。
ひとときの音楽 ~バロックの美しい歌~
録音は「浜離宮朝日ホール」で、波多野睦美さんがこれまでもコンサートで使用してきたホールです。
さて、商品ページは現在SACD専用になってますが、CD/SACD Stereo/SACD Multi(5.0ch) です
2ch StereoのCD面もなかなかの特等席音響ですが、SACDの5.0ch音響はステージから3mくらいの空中に漂って聴いているような感覚。
サラウンドチャンネルからもかなり音量が出ていて響きに包まれる感覚が味わえる。
実際のホールではどんな特等席でもこういう音はしないでしょうが、なんだかお得な感じがするほど美しく濃密な音が聴けることは確かです。
ボーカルはフロント3chをほぼ均等に使っているようなので、AV用のセッティングでも中抜け感は無いと思います。AVマニアで波多野睦ファンは(いるのか?)買って損なし。
(選曲がシブイので、マルチチャンネルを組んで最初の一枚…にはお勧めしにくい)
2chは5chほどのリッチ感はありませんが、マルチマイクっぽい雰囲気はあるものの、生のコンサートホールの音響に近いのは2chだと思います。そういう意味ではこちらもよく出来ている。