若大将トラックス(2)
このvol.2の目玉はなんと言っても隠れた大名曲「君のおもかげ」が完璧な形で聴けることである。ディープなファンとしては非常にうれしい。また、加えて植木等氏との「二人だけの海」も余興的に楽しめる。
地獄【DVD】
映画『地獄』と言えば、中川信夫監督作品。
現世こそが地獄であり、地獄は罪の浄化の場であるという思想を背景にしながら、それゆえにこそ現世の地獄の終着駅となる舞台設定を、介護付きとは名ばかりで実際には姥捨て山に過ぎない老人ホームとし、老若男女かまわず登場人物全員を強引に死なせて地獄へ落とす物凄い展開。
ただただ呆然とするしかない傑作だった。
あるいは、映画『地獄』と言えば、石井輝男監督作品。
生きても地獄、死んでも地獄、そもそも人生とやらに何の意味があるのか、全くの無意味ではないのかと問う、いかにも石井監督らしい強烈な作品であった。
これらと比較すると、この神代辰巳監督作品『地獄』は、意欲が空回りした中途半端な作品に思える。
当時、『大地の子守唄』『青春の殺人者』や『あぁ野麦峠』などによって、若手美人女優の中では最高の演技派として評価されていた原田美枝子が、なまじ「体当たりの熱演」を見せるだけに、そこに何らかの意味を持たせようとして、かえってナンセンスになったような気がしてならない。
もしこれが、映画初主演の新人女優に、思い切り無茶をさせるような映画であったなら…。
あの『幻の湖』くらいには吹っ切れた作品として、他の二つの『地獄』に匹敵するレベルになったかもしれないのだが…。
残念ながら、そうはならなかった。
むしろ、田中陽造脚本&神代辰巳監督作品『やくざ観音 情女仁義』や、神代辰巳脚本監督作品『女地獄 森は濡れた』の方が、もっと突き抜けていて素晴らしかった印象が強い。
こちらの2作品を、よりおすすめしたい。(といっても、現在はDVD廃盤のようだが…)
あの頃映画 「八つ墓村」 [DVD]
この作品が公開されたとき、私はまだ中学生でした。あまりの迫力と恐ろしさに目をそらすことも出来ず、見終わったあとも怖くて何日も眠れませんでした。 えてして、子供の頃の記憶というのは、曖昧だったり大袈裟だったりするものですが、この作品に関しては、今見ても当時と寸分違わぬ恐ろしさと迫力です。それにしてもショーケンはやたらとカッコいい。そして、ずーっとドキドキ緊張しっぱなしで観ているなかで、常に絶妙のタイミングで渥美金田一が登場するのも素晴らしい。思わずホーッと気が抜けちゃいます。間違いなく邦画の最高傑作です。