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バンカラ VANから遠く離れて――評伝石津謙介

我々の世代にはVANの3文字は特別な存在である。日経新聞の広告を見てすぐに手にした。作者の冒頭の言葉がよりいっそう興味を引き、どんな語り口であるのか楽しくなった。それは「ぞんざいな言い方をすればVANのことなどどうでも良かった一人の人物を徹底追及することで得られる豊穣の予感がしていたのである」この言葉にその思いが迸っている。
 反面、作者の服装の歴史も読み取った。取材前日にケンコレクションですべてをそろえたということは根っからのお洒落さんでないことがうかがい知れる。だからVANのことなど・・・という言葉が出てきてもおかしくない。
 今日までIVY・TRADを着続けてきた者なら前日に慌てて着る物をそろえることはしない。今までの着こなしの積み重ねがおのずと今日の装いを決めるのだ。石津謙介の言うTPOである。ネイビーブレザーに行き着くことは自明である。
 今VANを知る人は一握り、若い世代の服装に「渇!」といえる人は誰もいない。石津謙介がいたら思い切り言ったであろう。私達はよい時代にVANと出会い、そのかっこよさを今も楽しんでいる。
 「VANから遠く離れて」タイトルがいい、私達が知っているVANはもうない。こうして離れた場所から見直すことも大事だなと気づかせてくれた。 VANから遠く離れて――評伝石津謙介 関連情報



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