サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」というと、しばらく前にデュトワ指揮モントリオール交響楽団,ハーフォード(オルガン)のCDを良く聴いていた。その当時、小生はまだ20代だったので、音楽の深みなどについてあまり考えず、フランス音楽ならばフランス人もしくはフランス語圏の演奏家,指揮者を選んでCDを購入することが多かった。クリュイタンス,アンセルメ,デュトワ,フランソワなどがそれに該当する。現在、カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,コシュロー(オルガン)のCDを聴くようになって、この曲のオルガンの重厚な響きにベルリン・フィルが良くマッチしていると思えるようになった。それはカラヤンがベルリン・フィルの音を完全にコントロールして、この曲の第2楽章,第2部になって初めてオーケストラの響きを全開にしていると感じられるからである。録音にあたりカラヤンはこの曲を完全に自分の範ちゅうに収めたのであろう。このCDから聞こえる音楽には解釈においても、フレーズごとの強弱やテンポにおいても、いささかも迷いが感じられない。それどころか、カラヤンの自信のほどが伝わってくるようだ。この曲の最高の名演奏と言って差し支えないだろう。録音も素晴らしく曲をしっかりと捉えている。