バッハ・トランスクリプション
名指揮者ストコフスキーからフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督のポストを引き継ぎ、40年以上の長きに渡ってこれを守り抜いた大指揮者オーマンディーの自身のバッハ編曲集である。ストコフスキーの編曲でなく、自身の編曲や知己のアーサー・ハリスの編曲を採用し演奏したあたりに、前任者への対抗意識も伺われるが、バッハ編曲の伝統をきちんと引き継ぐあたりは、なかなか老獪な戦略だ。……ここでの演奏はRCA移籍後の録音となるもので、レパートリーも増え、なかなか華やかなものである。「トッカータとフーガニ短調」や「パッサカリアとフーガハ短調」はストコフスキーの編曲も有名だが、オーマンディ編は弦楽器の輝かしさをより目立たせるテクニックが用いられており、比べてみるのも一興だろう。また、ストコフスキー編にはなかった「大フーガ(幻想曲とフーガ)」が取り上げられているのも面白い。
フィラデルフィア管弦楽団の首席奏者たち-モーツァルト:管楽器のための協奏曲集
フィラデルフィア管の音はアメリカの楽団で弦の響きが美しいので一番好き、モーツァルトなんか最高だろうなと思ってた… ここまで優美な演奏だとは想像しなかったので呆気に取られました。よく聴くベーム&ウィーンと多少の表現の差こそあれ良い勝負… 押し付けがましくない心地好い演奏ですね。特にファゴット協奏曲は良い… こんなに軽く上品に吹けるものなんですねえ、慎ましやかでは有りますが大した名人芸です。二枚目は更に上品で地味な通好みのモーツァルト…熟睡できます(笑)
三枚目のホルン協奏曲全曲は、ホントに素晴らしいフィラデルフィア管らしい明るく美しい、尚且つパワフルなモーツァルトが聴けます。この曲はいつもはカラヤンとデニス・ブレインの共演盤で聴いてますが… ブレインは「えぇっホルンだよね?」って驚きの滑舌の良い正確さで音色も抑制され美しい演奏とすれば、メイソン・ジョーンズは「あぁーホルンだあねえ」ってたっぷりとしたホルンの響き全開で力強くおおらかな演奏です。
PATIENT 14 戦慄の人体実験 [DVD]
実際に行われた人体実験の恐怖を描いたサスペンススリラー、との宣伝だが、にわかに信じがたい内容。全世界で多数の死者を出した遺伝子操作を利用した、極秘の実験と勢力争いをテンポよく描いてゆく。私の好きな心地よいテンポだが。
FBIだ、国防総省、政府高官、製薬会社がからむ勢力争い。その中で行われた「極秘にされていた国家的陰謀」と言われているが、事実そうであったらもっと怖い・・・・。そんな感じです。
暴漢に襲われ、聴覚異常と精神異常を発症するライザは、この聴覚異常の治験に参加する:それが「国家的謀略」とは。マウスでの実験で、ほぼ全数の検体が死亡するこの治験薬を、権力欲・金銭欲に虜にされた政府高官達、医師達が人体実験を行うと言い出す。16名の治験者のほぼ全数が自殺、事故死、などで死亡してゆく中、ライザは運良く生き残る。聴力が回復するのと引き換えに、別の聴覚異常が発症する。「極めて微細な電磁波の検知により、相手の頭脳の動きが読めるようになる」と言うんだから、FBIや政府高官が喜ぶのは当たり前。そのため、ライザは国家公務員に採用され、「相手に悟られず種々な秘密を取得する仕事」に従事する羽目になってしまう。
今は遺伝子組換えあり、何でも有りの世界だから、これの実際に起こった事件かもしれないが、政府高官、FBI,製薬会社、医師等々の権力欲・金銭欲、謀略に囲まれた世界が醜い。
ライザは、異常聴覚をコントロールする銀製のイアリングを与えられ、それを活用して、この泥沼を生き残る。
FBIの捜査官に同様の能力を与える別の実験には、全検体が死亡。それを知る政府高官の暴挙。
私は映画自体より、タイトルにあった「実話を元にした映画」と言うせりふに一番の戦慄を覚えました。何でも有りの世界です。関心のある方は是非ご覧ください。
ダークライト [DVD]
クリーチャーに関しては、ビジュアルをもうちょっと考えて欲しかったところだが、テレビジョンムービーとしては上等と言えるでしょう。
主人公のリリスは基本的に不死身なので、『X-MEN』のウルヴァリンばりに、切ってみたり焼いてみたり、色々してみても良かったかもね。
アメコミのダークヒロインって感じで楽しめました。
スター・トレック:Q ボックス [DVD]
全能の存在であるQは、TNGシリーズの第1話や最終回を含め幾度もピカード艦長以下クルーたちに干渉する。
干渉は、お節介・わがまま・無理難題など様々だが、Qが口では「地球人は深宇宙に進出するに値しない野蛮で低俗な種族」と断じる一方で、地球人(特にピカード)に強い興味を抱き、干渉することでピカードに宇宙探査の危険に対する覚悟を問い正したり、より高い思考次元へと導いたりする。
TNGシリーズは、当初視聴率が振るわなかったため制作打ち切りの危機に陥ったが、それを挽回して以後の劇場版を含めた大人気シリーズへと変貌したきっかけが、第42話「無限の大宇宙」。
このエピソードで、Qはピカードらにボーグという未知の強大な敵の存在と遭遇させ、惑星連邦とボーグとの戦いは後のエピソード「浮遊機械都市ボーグ(前・後編)」、劇場版「ファースト・コンタクト」などへつながっていく。
TNGシリーズの最初と最後に登場し、ボーグと引き合わせた役などからして、QはTNGシリーズ最大の功労者。
それに比べれば、DS9やVOYAGERシリーズで登場する意味は小さく感じる。