日本の黒い霧〈上〉 (文春文庫)
松本清張作品中で一群の傑作小説外では昭和史発掘と並ぶベストの一つ、
当時「社会派」作家として売っていた松本の真骨頂ともいえるドキュメンタリー風の調査記録に作家としての推理を織り交ぜた興味深い内容、
扱われたほとんどの事件が日本がアメリカに占領されていた時期に発生したもので、その一部は帝銀事件や下山事件のように後に数多くの著作を生み出すような戦後史の重大事件も含まれます、
すでに社会主義や左翼といった言葉自体が過去のものになりつつある現在に読みなおせば、松本の視点の鋭さだけでなく、アメリカの「機関」だけでなく、アメリカが監視を怠れなかった相手側の性格までもが的確に描出されていることに驚かされます、占領期間中ってこんなにおどろおどろしかったのか?と
歴史に興味のある人ほど昭和20年代にたいする新しい視点を提供されるでしょう、
最大の難点は、当時流行作家として最盛期だった松本清張だけに、文章の推敲が極めて甘く、同じ内容の繰り返しが頻出することです、また文体もけっして松本作品中の最良のものと言えないことでしょう、優秀なライターによるリライトに索引・事項解説を付けた改訂版をだすような英断を出版社に期待しています、
どこかで聴いたクラシック クラシック・ベスト101
曲目は、ほぼすべて聞いたことのある曲で、最高のCDである。
しかし音のほうは、ノイズがひどいものも結構ある。また最初の演奏の音がすごく小さかったり、後の音がすごく大きかったりする。1曲の中で、ボリュームの調整をしないといけないのは面倒である。
アナログ時代に録音したものなのでしかたないのかもしれないが。その頃の音が好きな人にはおすすめ。
電動字消器RE-3000N
電動ケシゴムとして、及第点です。使い心地も悪くありません。
ただ、一緒にたくさんついている消しゴムではボールペンの字を消すことができませんでした。
それが不満点。
私は、別の砂ケシゴムを購入し、それを先につけて使っています。
震える牛
取り上げているテーマが面白そうだったので購入しましたが、タイトルと帯で想定した通りの筋立てで、ミステリとしては大味で、ほぼ予想通りでした。
まあそれは期待通りだったのでよいとしても、残念だったのは主要な登場人物像の作りこみが甘いと言う点です。(いなくても刑事モノとしても成り立つ気もした)女性記者がわざわざ巨大権力と闘う動機、あと犯人がわざわざ他の手段ではなく殺人に至るまでの合理性、どちらも稀だからこそきちんとした成り立ちを詳述するか、あるいは「設定」として一切語らずに読者に委ねるか、のどちらにも至らず中途半端で残念でした。
人物と文体だけだと☆二つですが、テーマが面白かったのと今後にも期待して☆3つにします。
これが「2012年ミステリーベスト1」なんてことはないように、本年もさらなるミステリ作品の切磋琢磨を一読者として切望いたします。
DVD白い影(1)
直江役の中居正広さん演じる天才医師は、血液のガンに冒され、
余命少ない人生を医師として、最期まで、まっとうすることを
誓った。
彼はそんな状況の為か、女性を『愛すること』を諦めていた。
竹内結子さん演じる看護婦、倫子は、そんな直江医師の心に
確実に入りこんでは傷ついていた。
そして、彼の強さや心の奥に潜む、やさしさ、もろさ、悲しさ、
に触れ、彼のすべてを知り、どうしようもなく愛に落ちていく。
全編にわたり、『生』と『死』、『愛すること』と『愛される
こと』が、大きなテーマになっている。
中居さんの演技は名作『砂の器』以上のものがあった。
又、倫子役の竹内さんも、直江以上の強さとやさしさが感じら
れ、彼をしっかり受け止める名演となった。
平成のドラマの中では最優秀作品といって過言ではない。
絶対お勧めの作品です。