その時は、笑ってさよなら ~俳優・入川保則 余命半年の生き方~
読売新聞などでも紹介されていて、興味をそそられて買ってみた。
自伝的な内容がメインかと思ったら、メッセージ要素が強く、
末期がん患者から見た「死のあり方」や「家族と人生のあり方」など、
氏独特のオリジナリティのある良質の「生き方指南書」でもある。
余命半年、死を達観した入川氏の強いメッセージが心にズシンと響いた。
余命宣告をされてからの2ヶ月分の日記が巻末についているが、
これもまた非常に興味深い。
以前何かで、入川氏が「がんを告白してからというもの忙し過ぎて死ぬ暇がない」
と冗談ぽく言っているのを見て笑ったが、本の内容もイヤミっぽさがなく、
飄々とした語り口で好感がもてる。
なんだか「死」に対しての恐怖というか、モヤモヤしていたものがなくなり、
心がフワッと軽くなった気分。
読むだけで「死」を達観してしまえる、個性の強い1冊。
本棚に置いて時々読み返そうと思う。
さんまのまんま ~永遠のスター編~ BOX1[DVD]
発表されている内容は、すべて今は故人になったかたがゲストの回。そればかりを並べたラインナップって、どうなんでしょうか。そういう発売方針でもあり、また、権利問題も比較的クリアしやすいという理由なのか。
当然ながら、相対的に若手であるさんまさんが、格上の先輩芸能人とからむという、うーん、確かに今となっては貴重な映像なのかもしれないけど…。
若手や中堅芸人・芸能人の上に君臨(良い意味で(笑))する“スーパーMC”=今のさんまさんに飽き足りないというひとには、嬉しい商品なのかなあ。個人的には、購入をためらってしまう。
コミック雑誌なんかいらない! [VHS]
内田裕也親分、最高の1本。どうも親分の意図するところは判りにくいが、現代社会定着してしまっている芸能人のゴシップや事件、情報至上主義へのアンチテーゼではないだろうか?実在の事件を取り上げ脚色し、またあるときは実在の人物に突撃インタビュー(演技丸出し・・)。やはり垂れ流される情報への警告だろうか。ポルノ映画出身の滝田洋二郎が撮ったというのも非常に興味深い。その過激なテーマにより、ニューヨーク映画祭で上映された。
私ががんを恐れなくなった理由(わけ)
逸見さんがスキルス胃癌で亡くなった後、残された奥様が看病中には知らない事だらけで、知識不足だった事を悔やみ、癌について、医療について、色々な角度から勉強し、書かれた本です。私自身も父を逸見さんと同じスキルス胃癌で亡くし、奥様と同じ気持ちで悔やんだり、もっと知識があれば・・・、と思ったりもしました。でも、悔やんでばかりいても父はもう戻ってきません。残された者たちが、その死を無駄にすることなく、これからでも知識を増やし今後なんらかの形で役立たせる事ができればなぁと、考えさせられる一冊でした。
ガン再発す
一般向けの新書版であるが、内容はきわめて専門的である。よくあるような、「パーキンソン病とは…」「ALSとは…」といった、病状の記述と申し訳なさ程度に記された疾病の(現在考えられている)発症機構の説明に終始、といった体裁ではなく、その疾病が発見されるまでの背景、そして実際に罹患した患者の臨床例、そして何より、新書版とは思えない専門用語による解説。特に脳-脊髄系の神経回路や神経核など、神経科学の基礎が頭に入っていないと、小脳系の疾病や片麻痺の記述については理解が難しいと思う。
内容が内容なだけに、すらすら読める本ではない。ちょっとした教科書、もしくは受験の時に使った「豆単」的な重要事項のチェック本、といった感じが強い。手に取りやすい体裁ではあるが、結構勉強になる本だと思う。