高機動幻想ガンパレード・マーチ サウンドトラック 幻想楽曲
非常に自由度の高いゲームとして有名な
「ガンパレード・マーチ」ですが、
音楽の方も、その自由度を反映するかのように
多種多様な音楽に富んでいます。
日常のゆったりした音楽、戦闘時の勇ましい音楽、
気まずい時のぎこちない音楽、Hな雰囲気の時の官能的な音楽…など。
ゲーム中で使われる全ての楽曲にアレンジが加えてあるので、
とても完成度の高いものに仕上がっています。
エンディングで使用されるテーマソングや未収録曲も
収録されているので満足感たっぷりなことは言うまでもありません。
ガンパレファンなら是非持っておきたい一品です。
スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎001 (講談社文庫)
この手のアンソロジーはさまざまな企画があり、正直当たり外れも多い。今回は選者が当代きっての人気作家・東野圭吾ということで、「はずれ」がないことを祈って購入しました。
8編のミステリーが収められていますが、私個人としてのはずれは1つだけ。(どれとは申しませんが)。読んだことのない作家が半分ほど占めていたのですが、これを機に読んでみたいと思える内容でした。特に日下圭介氏。緻密に練られたストーリー展開はぐいぐいと引き込まれます。
冒頭に収められた松本清張氏の「新開地の事件」。すべてを読み終えたときにやはり抜きん出て印象に残る作品でした。単なるミステリーではない、時代背景の描写のうまさ、無駄のない文章。おもしろかったです。
緋色の欠片 愛蔵版 ~あかねいろの追憶~ (通常版)
PSP版でとにかくハマり、フルコンプ済み。PS3薄桜鬼巡想録の大画面美麗スチルに感動したので、緋色ももちろん購入。
本作は、PS2で2009年10月に発売された愛蔵版の移植(PSPやDSの追加要素も全て含まれています)ですが、PS3になって以下のような追加があります。
・新規シナリオ(本編の後日談)
・新システム「あかねいろの追憶」:1度でも通った章ならば、章ごとにプレイ可能。好感度の調節もOK。
・バッドエンド解説を何度でも見返すことができる「玉依毘売神社出張所」
・PS3薄桜鬼と同様のAPSシステム(キャラのまばたきや口パク等)…個別にON/OFF可。紅葉の背景に少し揺れる髪が何とも良いです。
・人物名鑑:プロフィールと立ち絵、ボイスの再生も可。キャラ攻略後にはカスタムテーマのダウンロードも出来ます。
・トロフィー対応
・PSP版には無かったシステムボイスが追加:個別/ランダム設定可。キャラからの予期せぬ台詞が嬉しいです。
・PSNからダウンロードコンテンツを取得出来ます。今のところ各キャラのアバター(有料)しかありませんが、10月下旬にはキャストコメント、立ち絵、カスタムテーマ、追加シナリオ2本が配信予定です。
ストーリーやシステムに関してはPSP版緋色の欠片 ポータブル(通常版)の方にも書いていますが、
・選択肢を選んで好感度を上げつつ小説のように読み進めていくという感じなのでプレイヤーの自由度は低く、“ゲームをやってる!”という感じはあまりないです。
・本編ストーリーはけっこう重め&長め。でもラストはやっぱり甘く、カズキヨネさんの絵もすごく綺麗で、キャラそれぞれの個性や、見事にマッチしたボイスがとても素敵でした。 (ただ誤字・脱字が未だに修正されていないのはちょっと気になりましたが…)
・2周目以降はスキップを使えばサクサク進めることができます。巻き戻し機能もあるので、選択間違った!という時も選択前に戻ることができるので便利です。
・ストーリーの大筋は同じですが、攻略キャラそれぞれの話の流れがあるので複数攻略はできません。でも、そのおかげでそれぞれが抱えている悩みや葛藤が丁寧に描かれ、それにきちんと向き合っていくことができるので良かったです。1周目だけでは見えてこなかった部分も回数を重ねるうちにだんだん見えてきて、敵方キャラにさえ好感を持てるようになりました。
・本編の他にも、ファンディスク「あの空の下で」や「秋祭り」「バレンタイン」「クリスマス」のミニシナリオ、ボイスがゲットできるカルトクイズなども入っています。本編より糖度アップしてます!それに敵も味方も和気あいあいとしていて、そこがまた嬉しい&ほっと脱力して楽しめる内容でした。おみくじで交換できるスチルもすごく綺麗で、ボリュームたっぷり大満足の乙女ゲームでした。
背景でハラハラと散る紅葉が、今の季節に何ともマッチしていて美しいです。大画面で緋色の世界にどっぷり浸かれるので、緋色未プレイの方も、緋色ファンの方も、ぜひPS3版をおススメしたいです。
緋色の記憶 (文春文庫)
趣を異にする推理小説というよりは、文学作品として読むにふさわしい。
全編を通してせまってくるトーンの陰鬱さは、過酷なまでの自然を描いて有名な、あの『嵐が丘』を彷彿とさせる作品です。本編の中にも、女性教師とその同僚との恋を、ヒースクリフとキャサリンに例えた場面がでてきます。
ニューイングランドの田舎、チャタム。保守的な色合いが濃いこの小さな村に、緋色の服をまとった女性教師が降り立つ場面から物語が始まる。やがて彼女は、妻子ある同僚との“邪悪な恋”へと導かれ、舞台となるチャタム校や大勢の人々を巻き込み、“黒池の事件”の唯一の罪人へと転落していく。突如、黒池の淵で起こる惨劇。十五歳の少年が池の底で目にしたものは?そしてその後の彼女の運命は?数十年を経て、今では老人と成り果てた少年の語り口により、忌まわしい過去、そして事件の真相が徐々に明らかにされていく。度々登場する“黒池”の不気味な描写が少年の心情とあいまって、物語に不吉さをそえている。
スリルを味わう推理小説やサスペンスを求める読者には、残念ながらお勧めできません。
ちなみに私は、クックの作品を読むのはこれが初めてですが、すっかりはまってしまいました。
沼地の記憶 (文春文庫)
もう何年前になるでしょうか、「緋色の記憶」を読んだ時にはメガトン級の衝撃を受けました。
ああいう完成度の高い作品ばかり読んで暮らせたら、それはもうなんとすばらしい人生でしょう。
美しいミステリの芸術品。
おそらくクックには誰もがあのレベルの作品を要求しています。
ですから、やっと出た新作「沼地の記憶」も、どうしても比較せずにはいられません。
まずは無理無理つけたようなこの日本語タイトルに減点1!
なにがなんでも「記憶シリーズ」に結びつけようという意図がとほほです。
・・・でも、これはクックのせいではないですね(苦笑)。
冗談はさておき、読後一夜明けた私の感想は、「夏草の記憶」にすごく似たエンディングだわぁ〜、ということです。
「記憶シリーズ」の中でいちばん残酷なオチは、まちがいなく「夏草の記憶」のそれだと思います。
そして、「緋色の記憶」が純然たる悲劇であったのに対し、「沼地の記憶」は悲喜劇です。
主要登場人物は、途中から、教養があるのかないのかわからなくなります。
読んでいて「バッカじゃないの、この人たち・・・?」とつぶやいてしまったことも。
クライマックスの、シェイクスピア劇を思わせるような父と息子の手に汗握る一場面の緊迫度には鳥肌が立ちましたが、その後が・・・・
えぇ〜、そうくるのぉぉぉぉ? なんでぇぇぇ〜??? (悶)
なんだか、「着地で尻モチ」な感じが惜しくてたまりません。
村松さんの訳でなんとかならなかったかなぁ? 無理か?
ともあれ、クックは私にとって神様にちかい作家です。
次はぜひ、「緋色の記憶」のような、いやいやもっとすごい、至高の傑作をお待ちしております。