シン・レッド・ライン 【VALUE PRICE 1500円】 [DVD]
2011年の話題作「ツリー・オブ・ライフ」の監督である、テレンス・マリックの太平洋戦争を舞台にした人間叙事詩。
色々な戦争映画があります、本作は時折に無性に見返したくなる作品です。
「プライベートライアン」「プラトーン」、「地獄の黙示録」など名作戦争映画は数多くありますが、S・スピルバーグやジョン・ウー作品などハリウッド仕立ての戦争映画を見慣れている人には"なんじゃこりゃ!?"的な戦争映画です。
何といっても映像が美しい!人間描写が美しい!まるで映像詩を観ているようです。ペレストロイカ以前の芸術味あるソ連映画の雰囲気を醸し出すような"芸術的映画”です。
美しい自然の中で繰り広げられる、激しい戦い…。
人間…何やってんの?…戦争という愚行を覆い隠すかのようにひたすら美しい自然と緩やかに生きる現地人の映像が心に染みいります。
これまでも、そして今後もこれほど美しい戦争映画は作られることはないでしょう。
人間の歴史は戦争の歴史でもあります。"戦争を描く"ことで人間を描く本作は、他に類をみない作品であり、観る人によっては"焦点が定まらないヘンテコ作品"と写るかもしれません。
本作には個人視点で描かれた戦争の世界があります。
アメリカでは2010年にBlu-rayの特別装丁版が発売されていますが、残念ながら日本では未発売です。
"ツリー・オブ・ライフ"と通じる場面が多くある本作。
"ツリー・オブ・ライフ"の公開を記念して、Blu-ray版の国内での発売を熱く期待してしまいます。
祈りの島~映画「シン・レッド・ライン」の音楽
映画でのイメージが残っているせいか、殆ど1曲目か2曲目をリピートして
聴いています。
聖歌らしい「祈り」や「願い」のようなものが良く表現された楽曲ばかりで
非常に良いアルバムだと思います。
アカペラ音楽に興味があれば買って損はない一枚です!
シン・レッド・ライン〈上〉 (角川文庫)
映画の公開に合わせて文庫訳し下ろしで刊行された本書ですが、あまり売れたという話を聞きません。残念です。書店で自由価格本として廉価販売されているのを見ました。自由価格本は通常、出版社の在庫整理という意味もありますから、在庫がずっと維持されるか心配です。
重厚な読み応えのある作品で、読みがいあります。第二次大戦の太平洋戦線をアメリカ側から描いた小説では、たぶんこれに勝るものはないでしょう。アメリカ軍の物量作戦の祖型が緻密に描かれていて勉強になります。
本作の映画を見た人にもすすめたいし、戦争に興味がある人、アメリカ文化や北米史に興味のある人は必読です。アメリカ文学史に輝く作品ですから。