運命 二人の皇帝 痛快世界の冒険文学 (18)
もともと中国物の物語は描写がざっくりとしていることが多い。
田中氏が好んで書く中国物もそれを踏襲しているようだ。
これは翻案であり氏のオリジナル作品ではないが、
やはりそのスタイルで描かれている。
最近くどい描写が目立つ栗本薫あたりが書いたら、
5冊でも足りないのではないか(笑)
あまりのめり込んで読む類の話ではない。
どちらかというと歴史の流れを上から俯瞰している感じ。
だからといってつまらないわけではなく、
ひたすら読みやすく書くことに徹している作品。
恋泉 特装版 (B's-LOG COMICS) (B’s LOG Comics)
とある本の挿絵で一目惚れをしてから、皇なつきさんのファンになりました。
漫画も前々から買ってみようと思ってましたが、冊数が結構有るし、漫画だと絵よりもストーリー重視になるのでどうしようかな〜と悩んでいた所、この特装版を見つけて購入を決めました。
面白いです。絵は変わらず繊細かつ綺麗ですし、表情も柔らかくてうっとりします。 心配だった内容ですが、これまた杞憂に終わりました。
正直ラブストーリー物は苦手だったのにもかかわらず、何度も読み返してしまいます。一番好きなのは恋泉かな〜。
漫画としても充分面白いですし、画集と言ってしまっても過言ない位美しいと思います。 未読な方は買って損はしないかと。
ただ、落ち着いたお話メインなので、派手なバトルや意外性のある話が好きな人にはあまり向かないと思います。
しっかり創られた中国物が好きなので、こういう作品がもっと増えて欲しいです。
今回良かったので、他の本の購入も決めました。
黒猫の三角 (バーズコミックススペシャル)
ややこしい人物名も最初こそ違和感があるが、慣れれば逆に記号化しやすく、読みやすくなってくる。シリーズ物として、そこのあたりは考えられているのだろうか。
個人的な好き嫌いはともかく、主要な人物は十分に魅力的に描かれていると思う。しかし、サブキャラクターは、どうも厚みが無く、顔や容姿をしっかり思い浮かべることができる人物のほうが少ない。シリーズ1作目なので主要キャストに重点が置かれているのかも知れないとは思うが、もう少し筆を加えて欲しいところではある。
ミステリとしては、作者いうところの遠足における紅葉、この演出をありとするか。この辺りで好き嫌いは分かれそうであるが、私はシリーズ1作目に持ってくる実験的な要素としては好感を持った。
ただ、この本が再読に耐えうる内容かと問われれば、答えは否である。
犯人の動機こそ特殊で十分に面白いが、この犯人の性格や能力を考えると犯行、計画があまりに杜撰であり、トリックも甘い。
紅葉で誤魔化している印象を与えない為にも、トリックがもう少し練られていればと思う。非常に残念である。
中国帝王図 (講談社文庫)
三国時代以外はマイナーな中国史書籍の中で、統一王者を中心に描いたこの本は
画期的で心の琴線に触れました。
各時代の王者の衣装もひと目で分かるので、同人など創作活動をしてる人に特に
お勧めです。
皇なつき作品集「画趣」
恥ずかしいのですが、皇さんの「夢源氏剣祭文」という単行本をジャケ買いするまで、こんなに上手い描き手の存在を知りませんでした。すっかりファンになって「画趣」を購入したのですが、目から鱗が落ちるほど驚きました。息をのむというのは、こういう感情のことをいうのですね。本当に、見応えのある作品集です。
また、とてもシンプルな画面構成で編集されているのが、見やすくてありがたいところです。