狂気の愛 (光文社古典新訳文庫)
シュールレアリスムの中心的存在、アンドレ・ブルトンの代表作。
20年以上前に読んで、「なんだかよくわからないけど凄い」と思ったことだけは覚えている。
今回、古典新訳で読み返してみて、まずわかりやすさに驚いた。
もちろん、シュールレアリスム文学だから、難解で詩的な表現も多い。
全体のプロットも、つかみ所がないとも言える。
しかし、大胆な訳と、詳細な注釈で、シュールレアリスムの世界観のようなものを
実感させてくれる。
愛のどんな敵も、愛が自らを讃える炉で溶解する
いいなあ……。こういうフレーズを書きたいものだと思う。
まさに「詩」だ。
いずれにしても、ブルトンの作品がこんなふうに手軽に読めるだけで感動である。
コンスエラ―7つの愛の狂気
さて、あのダン・ローズの短編集である。七つの話がおさめられている。愛の狂気と副題にあるから、それなりのつもりで読んだが、こりゃだいぶヒネクレています。すべての話が主人公の思惑通りにいかないところがおもしろい。この短編集に出てくる男たちは、愛に盲目的であまりにも従順。そして翻弄する女たちは普通じゃないときてる。表題作の「コンスエラ」なんか男にとっちゃ悪夢みたいな話だ。愛を試す方法としてコンスエラがとった方法は現実離れしていておぞましい。しかし、これがかなり読ませる。おもしろすぎだ。一番気に入ったのが「ヴィオロンチェロ」。洗練されてて、ちょっと切ない。まるっきりのファンタジーなのだが美しい。厳しさとユーモアが合わさった絶妙の匙加減をぜひ味わって下さい。
千年女優 [DVD]
ラブストーリーが本分だと思って見てたので、あの最期の台詞には完全にやられました。
彼女にとっては、演じることそれ自体が恋することと同等、もしくはそれ以上の意味を持つことだったんですね。
千代子の恋はいつ始まったのか。 そして初めて役を演じたのはいつだったのか。 まさにそこが鍵だったわけでしょうか。
振り返ってみると『鍵の君』から役を与えられた時から女優人生は始まっていたと言うことなんですね。 つまり、ここが“役を演じること”と“恋”との重層構造の出発点になっていたと。
まるで恋のように“役を演じることに憑かれ、追い続け、求めずにはいられなかった”女優の人生譚だったとは…
なるほど。恋は報われなくとも、そもそも成否などは関係がなかったのかもしれませんよね。
彼女は自分の内なるものが求めるままに、その道をひたすら追い続けただけなのだから。
純粋さと言うのはある部分でエゴイスティックであるけれども、そのひたむきさ故に美しく、いとおしいのかもしれない。
良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖
かなり前に『平気でうそをつく人たち』という本を読んだことがある。そのときは、こんな
人もいるのだと驚いただけだった。
今回は、隣人のことで悩んでいる友人がいて、その話を別の友人にしたところ、その隣人は
まさにこの「良心をもたない人たち」に違いないと本書を紹介された。紹介してくれた友人
も、身近にこのような人がいて長年苦労をしていたのだ。
切羽詰まっていないと、なかなかすぐに読み通す気にならないかも知れないが、世の中には
こういう人が意外と多いという事実は知っておいて損はないと思う。
本書が示す最善の結論は、こういう人とは、いかなる関わりも絶つというものだ。
親族である場合はそうもいかないが、ついお人好しになったり、八方美人になったりして、
変な他人に巻き込まれてしまう人は、自分の身を守るために読んでおくべきだと思う。
狂気の愛 [DVD]
本国フランスでは未だDVD化もビデオ化もされていない作品。日本版は少し映像が暗いんです。映像方式を変換する時、そして字幕を貼る時に映像に少し影響するらしいのですが。
ドストエフスキーの「白痴」を元に、ポーランドの鬼才アンジェイ・ズラウスキーがソフィー・マルソーを主演に迎えて作った狂気作品。
この映画は、ソフィー・マルソー以外に演じる事ができるでしょうか?
あと、ヘア解禁版であったらと思います。
ヘア解禁になった現在にヘアの部分だけボカシが入るのは不自然です。
再リリースを希望します!