青い山脈 [DVD]
今の目で見ると(今の目で見ちゃいけない映画なのかもしれませんが・・・)、他愛無い話を大きな騒ぎにして、民主主義や自由恋愛といったものを説いているような印象で、あまり面白くなかったです。登場人物たちのセリフも何か、板についていないというか、言わされているような感じがしてしまう。どちらかというと理事長(小津の晩春で’不潔だわ’と言われていた叔父さん)やら体育教師?(黒澤の野良犬に出てたポマードのあんちゃん)の悪玉や、高堂老人の理事や、芸者梅太郎なんかに愛嬌があったりして、民主主義派のキャラクターはどうも魅力薄。夏目漱石の「坊ちゃん」みたいな真っ直ぐな正義で悪玉をやっつける痛快さはないです。理事会で小ずるい策を弄したりするのも、すっきりしない。第一、校医の沼田先生は、原節子演じる島崎先生の美貌に惹かれて民主主義派についているように思えてしまうのもマイナス。なんか最後のプロポーズも不意打ちみたいでフェアじゃないよなあ。原節子さんは、凄く綺麗!!(なので星3つです)。
陽のあたる坂道 (角川文庫)
青森と言ってもある作家とは
こうも、違うものかと云うほど
前向きな温かい作家ですよね。
明るくすこやかな 人の温かさや優しさ、
誰しも大小あるだろう劣等感への扱い方。
活き活きと描かれたものが少ない現代だからこそ
余計に心地良く感じます。
信次を倉本たか子が愛することも自然で
たか子と信次に語らせていることが
伝えたいことなんだろうなと思います。
こうした学生を描く雰囲気は、
曽野綾子女史の28才から35才当時の
いくつかの小説ともテイストが似ていて
お気に入りです。
青い山脈 前・後篇 [DVD]
前篇が封切られた翌週に後篇が封切られた、あわせて約3時間の映画。学校の風紀は自分たちで守ろうとするクラス・メートたちが、男子高校生(池辺良が若い!)と交際する女子高生(杉葉子)を学校の名誉を傷つけるものとして排除しようとし、彼女を支持する教師(原節子が美しい!)と生徒集団が対立して、学校や地域を巻き込む騒動に発展する。男女の交際についての封建的な道徳・倫理感の打破がこの作品の主要テーマだ。
中井朝一の撮影、そして梅太郎と和子姉妹、ガンちゃん等の脇役の演技がよい。木暮実千代はさすがに芸達者だ。
有名な「変しい、変しい」が登場する理事会の場面がクライマックスだが、その後は付けたしの感を否めない。いくら戦後の新しい空気がみなぎった時代でも、あのようなプロポーズは奇異だ。前篇・後篇に分けざるを得なかった事情はわかるが、今なら2時間半程度にすっきりまとめる作品だろう。
次元が違うが、教師対生徒という観点で見ると、現代作品「告白」との解決方法のあまりの違いの大きさに、戦後という時間の長さを思わざるをえない。
陽のあたる坂道 [DVD]
裕次郎はもちろん日活映画をあまり観ていないのですが、第一印象として編集方法が悪いと思います。画面の切り替えに違和感がかなりあります。内容は日本版『エデンの東』ですが、倉本たか子(北原三枝)と田代くみ子(芦川いづみ)、田代みどり(轟夕紀子)と高木トミ子(山根寿子)、彼女ら女性を対比しながら物語を進めています。
北原三枝は、その時どきの表情がいいです。ラスト近くから田代信次(石原裕次郎)へ向ける微笑みがなんともいえません。 芦川いづみは、よく見れば美人とは云えないですが、可愛らしい魅力的なキャラクターを演じています。 轟夕紀子と山根寿子はすごくいいです。この作品がきちんと成り立っているのは彼女らの演技力です。 裕次郎の演技も若さに溢れて瑞々しいし、川地民夫の“ジミー小池”として歌うシーンはイカしてます(笑)。