ブラック・ジャックALIVE 1 (ヤングチャンピオンコミックス)
ここのところ、鉄腕アトムの「PLUTO」や魔神ガロンの「魔神王ガロン」、そしてブラックジャックそのものと、手塚作品を「原作」とした多くの作品が上梓されているが、これはブラックジャックへのオマージュともいうべき作品集。全2巻の収録作のうちでは、ブラックジャックと「エロイカ」の面々の競演など、それだけで楽しいし、北見けんいち氏やきくち正太氏など、とんでもない組み合わせのBJが結構読ませる。永井豪氏はガロンでやりたいことをもう十分やっているのか、カーテンコール的な役割に徹しているようだ。いろいろな漫画家の眼に映ったブラックジャックのきらめきを、それぞれマンガの形に昇華させていることが、やはり手塚治虫の偉大さを示しているのであろう。だけど、とにかく手塚ファンにとっては何より「笑える」一冊。
ブラック・ジョーク 6 (ヤングチャンピオンコミックス)
この巻ではランオーバーの「聖母」に対する思いを洗脳で自分の娘への思いに上書きしようとする
ギャングとの闘いと、「パペット」と呼ばれる異形の殺し屋とTD温泉ホテルをクビ?になった吉良
たちとの闘いが前半まで収録されている。
1〜3巻までの「アメリカ国ニホン州ネオン島でのマフィアやギャングの死闘」という大筋は目立たなくなり、
<異形のモノ>(肉体面・精神面問わず)が全面に押し出されてきている。
過去の著者のオリジナル作品である「バロン・ゴング・バトル」「LIVES-ライブス-」なども読んでいる評者は、
おそらく今の路線が著者の描きたいモノなのだろうと思う。
実際、後半の話に出てくるバンド・デシネ「パペット」は本来作者が企画として持ち込んでいたネタだという。
しかし、「バトルロワイヤル」で著者を知り、続けてこの作品を読んできた読者には、今の展開は
「何??」だろう。
あとはセリフに「(笑)」「(苦笑)」「(ドクロマーク)」を使うのが、さらに読み手を選ぶコトになってしまっている。
こうした(ある意味)悪ノリに、どこまで読者がついてきてくれるか?
この巻の途中から掲載誌が移籍しているのが、いい方に傾くか悪い方に転ぶか。
そのあたりも含めて結構心配である。