「あの子を探して」ができるまで [DVD]
出演者が素人の子供達ばかりというのを映画鑑賞後に聞き、『へぇ~』とトリビアした事を覚えていました。なかなか演技で泣けない子供達をなんとか泣かす場面があって、最後に監督との別れの場面で本当に泣く子供達には感動しました。メイキングも作品にしてしまう監督の手腕に『へぇ~』
「初恋のきた道/あの子を探して」オリジナル・サウンドトラック
「初恋」というテーマをあれほど純粋な作品に仕上げてしまったことも
ひとつびっくりなのだが、それ以上にサントラの構成に私は驚いた。
作品を見ていたときはあまり感じなかったのだが、同じメロディーの
ヴァリエーションがほとんどを占めていたとは・・・。
カラーとモノクロの映像効果が印象的で、また主演のチャン・ツィイーが
愛らしくて・・・。音楽には誰もが泣かされていた。
もしもっと違うメロディーもあったなら、このサントラの評価は今以上では
なかったかと思う。
あの子を探して【字幕版】 [VHS]
おもしろかったのは、代用教員であるミンジがまるでやる気のない先生だというところです。ミンジは報奨金ゲットのために生徒の未来や将来も考えずに一途に行動する、そのしたたかさと自己チューのところが現代中国を象徴しているなーと思いました。そして、その表情がまた独特なのです。可愛くない、素直じゃない、目つきが悪い、能力がない、短気である、とまあ、さんざんないわれ方ですが、映画はこのミンジのキャラでなければおもしろくはならなかったはずです。タイトルからして、迷子探しの「お涙頂戴」モノかと思っていたので、この予想外の設定には思わず引き込まれました。そして、とうとう、ミンジのTV出演の場面には、ムググッときたのです。それもこれも、ミンジの要領悪すぎの3日間がミンジのこぼれる涙でカタルシスとなり、その涙に呼応する迷子のホエクーの表情がものすごかったからです。現代日本では絶滅したホエクー的少年は、まだ、中国にはいるのですね。寄付金まで手にして帰村するくだりにはやや戸惑いを覚えましたが、エンディングのチョーク一文字の場面は、非漢字文化圏(ヴェネチア)の人間にとっては神秘的な感動すらあったでしょうね。
あの子を探して [DVD]
中国でも、村の生活はオフビートだ。
村でただ一人の学校の先生、カオ先生が家族の急病で一ヶ月ほど村を離れることになった。村長がやっとで見付けた代用教員は、13歳のウェイ・ミンジ。一ヶ月の給料は50元である。クラスは1〜4年生の28人。
カオ先生が教えた授業方法は、「柱に打った釘に日差しが届いたらその日は終り。字の大きさはロバの糞の大きさがちょうどよい。チョークは大事なので一日一本。とにかく教科書を写させなさい。」など。
カオ先生は一人も辞めなければ、自分が10元払うことを約束し出て行く。
当初、ミンジの興味は10元だけだったが、そのままで済まさせないのが問題児ホエ・クーだ。まずは小便するために鬼ごっこ。続いて落とした貴重なチョークを拾わせるための取っ組み合い。学級委員の日記を無理に読んで泣かせてしまう。でも、これらの行動がミンジと生徒の距離を縮めて行く。
その、ホエ・クーが学校を辞め町に出稼ぎに行ってしまう。
ホエ・クーを探しにいくバス代を稼ぐため、クラスみんなでレンガ運びでのバイトをする。必要なレンガの数の計算からミンジの本格的な授業が始まる。
計算問題を出すと分からなくても手を上げる一年生がいる。ミンジがその手を掴み下におろすとクシャっと笑う。また、いつも間違える子がいる。この子も怒られるとニコッと笑う。
みんな活き活きしてる。
町に出て、テレビ番組でホエ・クーを探すミンジは何も言えずただ涙を流して「心配だ、帰って来て。」とホエ・クーに呼び掛ける。彼女の心はどの時点で変わったのか?そもそもバス代を知った時点で10元のボーナスでは損得が合わない。無愛想な仮面の下に、後悔と責任感と愛情をずっと隠してたのかと思うと、こっちも涙が出て来る。
ふと、「前半のゆるい笑いは、最後に泣かせるための布石じゃなかったのか?」と思うが、もう涙が止まらない。
監督の企みに気分よく泣かされてしまう映画である。
あの子を探して [DVD]
DVD買いましたが、何度も観てしまいます。
映像が語る映画です。しかも現実感あふれる演出なのに、子供たちのやってることが、信じられないくらいはちゃめちゃなのが楽しい!
映像の美しさに加えて、ドキュメントタッチで静かに登場人物一人一人の個性がこんなに自然に生き生きと描かれて、それでいて重圧な雰囲気にならなくて、下手すると爆笑、爆泣になりかねない、しかもこんなに懐かしい思いにさせられる、こんな映画は初めてです。
はっきり言って、ここ2~3年で最高の映画です。もう宝物ですね。