Boys & Girls
後期ロキシーのサウンド形式+方法論をそのまま持ち込み。サウンドはまるで『睡眠薬』のような感触。相違点を無理にあげるなら『リズムを職人たちにまかせて』クリーンなタッチにしたことか。大別するとサウンド形式は2つだ。ナイルロジャース(シック)を薄味にしたディスコ路線と、もうひとつは睡眠薬のようなAORだ。スタイリッシュなフェリーの甘口なボーカルが好きかどうかが決め手か。プロダクションはかなりしっかりしている。
10点中8点
ディラネスク・ライヴ~ソングズ・オブ・ボブ・ディラン [DVD]
私はフェリーがディランの曲だけのコンサートをして、その時のライヴを収録したのかと思っていたが、さにあらず、聴衆なしのスタジオ・ライヴであった。中島みゆきにもそのようなライヴDVDがありましたね。かといってディラネスクのCD制作過程のドキュメントではなく、スタジオで各曲を1テイクで録るために、クリス・スペディング、アンディ・ニューマーク等CD制作時の主要ミュージシャンが再度集合し、CDとほぼ同じアレンジでCD収録の歌・演奏を再現する。音の完成度はCDの方が高いのだろうし、イーノ等は出演しないが、厳選されたバンドをバックに演奏される曲はライヴならではの面白さを持っている。本編とボーナス・トラックでCDの全曲を網羅し、さらにフェリー若き日(34年前!)の「激しい雨が降る」のビデオクリップとCDフランティックと同じようにピアノだけをバックにした「くよくよするなよ」がボーナス・トラックとして収録されている。本編では、演奏シーンの合間にフェリーがディランの曲をどのように受容したかを淡々と語る。彼のディランへの想いの深さを知れば、CD、本DVDの曲もまた違って聴こえる。
聴衆なしのライヴだということと、基本的にCDと同じ曲を同じように演奏している点で完全に満足できる訳ではないが、最新の彼の歌う姿を見れることを含めて、CDにはない魅力・おまけを評価したい。
プレミアム~ザ・ドライヴィング・ヒッツ
殆どの曲が,どこかで耳にした事がある曲で,特に車を運転しているときに聴くと,とても気分がのってくるものが多いです。
洋楽はそれほど好んで聴きませんが,これは気に入っています。
The Best Of
ロキシーミュージックとB. Ferryのアルバムはすべて持っていますが、DVD欲しさに買ってしまいました。
今度はFerryのみの楽曲をほぼ年代順に集録したものです。Ferryオタクではないので特にに目新しい所はないように見受けられますが、CDのほうにはボーナストラックが2曲入っています。
DVDの方はVHSで見たことのあるものがほとんどです。しかしPVのあっちこっちに美女が出てくるのでいつ見ても目の保養になります。ラストのボブ・ディラン作「POSITIVELY 4TH STREET(2007年)」ミニライブで彼の歌唱力を再認識いたしました。これを見ることができるだけでもこのCD+DVDを買って良かったと思いました。
ベイト・ノアール・ツアー [DVD]
かつてVHSで発売されたことのある88−89年のベイト・ノアール・ツァーと2002年のフェリーのソロ名義(?)の2002年ミュンヘン・コンサート(これまで未リリース)を合体させた作品。このうち前者は実はボーイズ・アンド・ガールズ・ツァーと呼んだ方がふさわしいのではないかと思うほど同作の曲が多く、ロキシー・ミュージック定番の曲も多い。ベイト・ノアールからの曲は2曲だけである。一番の聴きものはやはりスレイヴ・トゥ・ライヴ。この名曲のライヴ演奏をフェリー80年代の声で楽しめるのは嬉しい限りだ。アンディ・ニューマークのドラムも派手にきまっている。ロキシーの他のメンバーは参加していないが、アヴァロンで魅惑のバック・ヴォーカルをつとめたヤニック・エティエンヌが同曲で同じように素晴しい声を披露する。映像はVHS時代の質感だが悪くはない。音は5.1chサラウンド。
2002年ライヴの方は、ロキシー再々結成時のライヴ・アット・アポロ2001のメンバーからフィル・マンザネラとアンディ・マッケイが抜け、他のミュージシャンで補充した顔ぶれ。従って、クリス・スペディング、ポール・トンプソンだけでなく、女性ヴァイオリニストのルーシー・ウィルキンス、パーカッションのジュリア・ソーントンがライヴ・アット・アポロのときのように活躍する。こちらでも、スレイヴ・トゥ・ラヴが聴けるので、十数年を隔てた同曲のライヴ演奏を比較できる。フェリーのソロ・アルバム「フランティック」収録のボブ・ディランのカヴァー2曲の演奏も聞き逃せない。
以上、本作はロキシーまたはブライアン・フェリーのファンには満足のいく作品だと思う。