罪と罰
三曲入りのマキシですが、どの曲もいい。『君ノ瞳ニ恋シテル』の、カバーをした歌手は他にもおりますが、私は林檎さんのが一番好きです。とてもはじけていて、聴いてて気分がいいです。『罪と罰』では、林檎さんの原点というか、ねじれた激しさを感じ、『17』では、かわいさも顔をみせ、さらりと英語の歌詞をうたってみせるという多彩なマキシシングルです。
カフカ 田舎医者 [DVD]
初めての山村浩二作品。
まず一回ではちょっと理解できなかった・・・
で、次の日にもう一回みて何とな〜く分かった気がする。
最初の印象はいきなり顔や体が変形するところに
ビックリして、「これホラー?」と思い、恐る恐る
見ていたが、この監督のタッチなんだと分かった!
世界観が良かった!!すべて手書きで、動きも良かった。
特に唐突に立ち位置の遠近感が分からないほどの体の変形振りがダイナミックで、迫力があった。
しかも声優が狂言の方々で、独特の語りが意外と作風とマッチしていたと思う。
あとDVDの特典の監督インタビューを見れば、
より作品が分かると思う。
時間的にも程よく、癖になりそうな作品。
吉高由里子 フォトエッセイ 吉高由里子のあいうえお
まあ、読んでみてください。立ち読みでも。ギャンブル好きというおっさん臭さも漂わせつつ、メールでは乙女、仕事場で寝落ちとか、1つの体にどんだけ無茶な人格突っ込んだんだと言いたくなる。でも、これがどんな役でもこなせる懐の深さになるんだろう、きっと。
一言で言うと、男前だ。
蛇にピアス [DVD]
最初は、映画館で観ました。
映画館という逃げられない場所で感じた痛みは、ルイが感じているであろう痛さほどではないですが、
この映画を忘れられない作品にするのに十分でした。
渋谷の若者の世界の描写も、ちょっと極端なような気もしますが、とにかく原作に忠実です。
台詞までほとんど一緒。ただ、ここまで映像化できたのはすごい。
映画に単なる癒しという娯楽や、常識的な予定調和を求めている人には余りお勧めしませんが、
先入観を捨てて、空っぽな気持ちで観れば、
空虚で、乾いた世界の中で、痛みとセックスだけが現実感を抱かせるという、危うい感覚を、
共感はできないかもしれませんが、理解できると思います。
ルイを演じる吉高由里子は、その後の彼女からは考えられないような、過激なシーンを演じています。
しかし、彼女のヌードに期待して軽い気持ちで観ると、期待を裏切られるかもしれません。
その後の彼女のファンは、ショックを受けるかもしれないことを覚悟をした上で、観てください。
なお、ちょっと辛口ですが、吉高由里子が演じるルイは、やっぱりちょっと無理している観があり、
余り自然にはじけては、いないように感じますが、若干19歳の彼女が、ルイの乾いた心とその痛みを演じきったことは、奇跡に近いように思います。
映画単体では★4つですが、吉高ファンのため、★5つとしました。
原作は後から読みました。改めて本作が良い映画であることを認識しました。
2時間もあれば読めてしまいますので、映画を観て良いと感じた方も、消化不足だった方も、
原作を読むとまた違った感想を抱くかもしれないですよ。
マザーズ
850枚を一気に読ませる。
ラストに向かって次第に文章は熱を帯びてゆき、作者が憑かれたようにキーボードをたたき続ける姿が浮かんでくるようだ。
登場人物に憑依されたイタコのようである。
同じ保育園に子供を通わせる3人の母親。
涼子は勤め人を夫に持つ平凡な主婦。子供は0歳児で、育児ノイローゼになる。
五月は売れっ子のモデル。夫と不仲で不倫をしている。
ユカは作家。作者の自画像を色濃く投影させている。夫と別居中で、薬中である。
3人の母親の孤独と苦悩が、それぞれ一人称で順繰りに語られていく。育児の日常を虚飾なしに描きながら、物語は三人三様のカタストロフィへと進んでいく。
しかし最後は、それぞれがぎりぎりのところで、破局の一歩手前で軟着陸する。予定調和的な、いささか安易なエンディングという印象があるのは、最後に来て3人の女と関わる男たちが急に物わかりのいい人間になってしまうせいもある。しかしそれが物語の大きな瑕疵にはなっていない。
読んでいる間、昨年の秋(2011年)に見た園子温監督の「恋の罪」が頭の中で幾度かオーバーラップした。
女性というのは、新しい生命を産み育む母なる大地であると同時に、赤子を引き裂き森を疾走するバッカスの神女の狂おしい破壊性をも持ち合わせている。理不尽で過剰なものをマグマのように内に秘めているのである。性のダブルスタンダード、母性という幻想は、本当はこうした女の部分を封じ込めるための人間の知恵なのかもしれない。
作者が意識上作品に込めたものとは直接関係ないのだろうが、そうした視点でもこの作品は十分読みごたえがある。
余談だが、この作者の薄化粧のときの屈託ない笑顔は、お若いころの瀬戸内寂聴さんに似ている。