吐カ喇列島 (光文社新書 365)
光文社新書の「島旅紀行」シリーズの新刊。私もそう思っていたし、著者もそう考えていたようだが、瀬戸内海という大方の予想に反し、著者が最終的に選んだのは「日本最強の秘境」トカラだった。しかし、新書で手軽にトカラを読めるというのはいい。読んでいて、南島色濃い沖縄と北方系を受け継ぐ本土の分岐点がトカラにあることを感じた。大きな文化の分かれ目を著者は巧みに表現する。また、1島100人という、プライバシーなど無きに近い、運命共同体として固い紐帯を持つの島人たちの姿も垣間見え、秘境中の秘境の素顔をよく描いている。
残念だが、レビューや「参考になった」の件数を見ると、本書の一連のシリーズには結構アンチがいるようだ。確かに著者の文体や内容には癖があるので、好き嫌いは分かれるが、でも、万人受けする紀行文なんて面白くないんじゃないの?ハマる人には非常にハマる。強調してもし足りないが、本書は新書の多くにある概説書ではなく、紀行エッセイであることに留意されたい。旅人の視点だから視えるものもある。続編が続いているということからも、商業ベースに乗る程度には人気であることの証左ともいえると思うのだが。
数ページに1枚はつけられているので、写真の枚数は十分足りていると思うが、判で押したように紙面4分の1程度のスペースなのがもったいない。トカラの野趣を伝えるためにも、値段を上げてでも、もう少しメリハリをつけてカラーやダイナミックな写真の使い方をしても良かったように思える。逆に「トカラ夢想新聞」なんて、要するに著者の空想なのだが、紀行文という枠を踏み外している。こんな蛇足なコラムは外してもよかったのではないか。また、トカラ情報は充実しているのだが、やはり一群島の話なので、ちょっと文章に切れ味が欠け、冗長な感じもした。第1作のように掌編のような美しい文章が再度出ることを期待したい。
名も知らぬ遠き島より―ひとり身の渚を枕に「種子島・屋久島・吐〓(か)喇」亜熱帯漂流
2001年に発行された『島の食事』を大幅に加筆・修正した本で、内容もぐっと良くなった。
種子島や屋久島を含む薩南諸島の島々の歴史と文化、現実、そしてロマンをつづった内容ですが、
いわゆる紀行ノンフィクションとは一線を画していると思う。
筆者は、種子島出身で船乗りをしていた経歴を持つ。
故郷に対する複雑な気持ちを抱えながらも、島に対する深い愛情を持って取材をしていることが伝わってくるし、
丁寧な文章に仕上がっている。余所者では出ない味わいだと思う。
小さな離島に生まれてなくても、アジアの東に位置する島国日本に生まれ育ったということの意味を考えされられました。
行き当たりばったり釣り紀行 VOL.1 トカラ列島・パラオ編 ~大格闘 夢の50キロオーバー!?~ [DVD]
続編がでたら、必ず買いたいと思わせる商品でした。
価格も安いと思います。
トカラ列島編とパラオ編が収録されていますが、どちらも竿をへし折る勢いの当たりが連続できます。
阪神さんが常にしゃべっているので退屈せずに最初から最後まであっという間に観ることができます。
観ているだけで体に力が入ります。観ているだけなのに体が疲れます。釣り好きな人は必ず買うべし!
太陽と風のダンス[改訂版]
まず話のスケールが大きい。茅ヶ崎からタイ、インドへ行くあたりは「深夜特急」レベルだけれど、あっという間に「地球は裏庭」くらいのスケールまで話が進んでしまう。65億人の人口を抱えたネット時代はここまで世界が狭くなり、コミュニケーションも可能になっているのかと驚いた。
自転車で7年半も世界中を旅した石田ゆうすけ氏の「行かずに死ねるか」でも感じた「世界の狭さ」を感じさせる本であると同時に、ダンスを生き甲斐にする人々が世界中にたくさんいることを教えてくれる本でもあった。彼らは共通の価値観を持っているためか、コミュニケーションが容易でどんどん友達になっていく。イスラエル人に悪印象を持っていたけど、この本を読んで少し考えが変わったし。
マケドニアに行くまではひたすら痛快。何度も大声で笑った。日常になんらかの生きづらさを感じている人は読む価値があると思う。