ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)
新訳聖書より数千年は古い、世界最古の叙事詩である。そして始まりがなんとも素晴らしい。ギルガメッシュはまだ「英雄」ではなく、力強く賢くそして暴君である。そしてそこにもう1人の英雄候補エンキドゥが現れる。彼は初め獣の人であったが、女性(娼婦)と交わったとたん、知恵に目覚める。象徴的である。そしてその表現のなんとなまめかしいことか。
彼はギルガメッシュと一対一の対決をする。そして友情が芽生える。二人は森の怪物退治の「旅」にでる。怪物を退治して帰った時、ギルガメッシュはエンキドゥの死に直面するのであった。「私が死ぬのも、エンキドゥのごとくではあるまいか」永遠の生命を求めてギルガメッシュは「第二の旅」にでる。最古の叙事詩は人間と神の契約の物語(つまり宗教書)では、戦争と平和の物語でもなく、生と死の問題を扱った素朴で根源的なロード・ストーリーであった。ギルガメッシュは結局救われることも無く最後には自国に帰っていくのであるが、旅の途中酒場の女主人の言った言葉が印象的である。最古の時から何千年間、何億人もの人間がこの言葉に自らを慰めたのではあるまいか。「ギルガメッシュよ、あなたはどこまでさまよい行くのです。あなたが求める生命は見つかることがないでしょう。神々が人間を創られた時、人間には死を割り振られたのです。生命は自分達の手のうちに留めおいて、ギルガメッシュよ、あなたはあなたの腹を満たしなさい。昼も夜もあなたは楽しむがよい。日ごとに饗宴を開きなさい。あなたの衣服をきれいにしなさい。あなたの頭を洗い、水を浴びなさい。あたなたの手につかまる子供達をかわいがり、あたなの胸に抱かれた妻を喜ばせなさい。それが人間のなすべきことだからです。」
ギルガメッシュ (1) (竹書房文庫)
石ノ森章太郎、知る人ぞ知る大傑作『ギルガメッシュ』の唯一の文庫化。確かな考証と卓越したドラマツルギーで見せる全4冊。石ノ森SFの力量を発揮した全てがここに詰まっている…。
Gilgamesh・ギルガメッシュ・第一巻 [DVD]
本放送があまりにも遅い時間だったためか、(関東でも28時とか・・・)
あまり知られていない本当に勿体ない作品です。
一度観たら忘れられなくなる強烈なインパクト。
作画の荒さは有りますが、そんなことも気にならない程の美しいキャラクターと
斬新で悲しい独特の世界。
これでもかと押し寄せてくる謎と意外な真実、
ラストへ向かい怒濤のように繰り広げられる主人公達の葛藤。
傑作と賞される作品は数多とありますが、
「ギルガメッシュ」はそのトップクラスだと思います。
そしてラストシーンを見終わった直後、暫く呆然とします。(良い意味で)