不気味で素朴な囲われた世界 (講談社ノベルス)
『世界シリーズ』の2作目になります.
ミステリは大掛かりで,それっぽい推理や図解もあるのですが,
前作同様,物語のためという程度で,本題はあくまでもそのあと.
急な場面展開にはやや戸惑わされるも,真相にはおどろくばかりで,
同時になんとも言えない感情がこみあげてきて,気分が悪くなります.
その上で読み返してみると,あのときの言動は…とまたイヤな気分に.
おそらく,1度目より2度目のほうが,よりグサリときて楽しめるのでは.
このあたりの受け止め方で,かなり好き嫌いの別れる作品になりそうです.
ただ,少し気になったのは,冒頭からつづく掛け合いなどの多さ.
おもしろいのですが,他作品でも見られるため,ややマンネリ感が.
ほかでは,キャラクタの設定上仕方ないのですが,探偵役の影が薄く,
強烈な個性を持つと語られるも,今ひとつ伝わらなかったのが残念です.
物語に繋がりはないため,こちらから読んでもだいじょうぶですが,
独特の世界観はシリーズ共通で,前作からの『ゲスト』も出てきます.
そのため,できれば前作のほうから先に読まれることをおすすめします.
あと,このシリーズのイラストは,すべて章の先頭に入っているのですが,
本作では,物語の核心に触れるようなイラストがいくつか含まれていました.
これにはちょっとガッカリで,未読の方はそちらにも注意したほうがよいかと.
また,あとがきも先に読まないようにしましょう.『楽しみ』がなくなりますよ.
なお,同時刊行されたハードカバー(講談社BOXピース)版との違いは,
イラストの有無(あちらにはなし)とあとがきで,内容は同じとのこと.
変態生理ゼミナール
2004年に出た、TAGROさんの短編集の単行本です。
10本の短編の内、最初の5本が「変ゼミ」の原型になった短編で、ほぼ今の「変ゼミ」のまんまです。
松隆、ほんとかわいい…♪
前半の「変ゼミ」原型短編は☆4つです。
後半の5本の短編は、まだ画風が安定してないです。
今日のTAGROさんの原点と言うか、変態的趣向がちゃんと含まれているのですが、それだけに少なからず読み手を選びます。
なので、辛口ですが☆2つ。
よって、☆3つにさせてもらいました。
変ゼミ(4) (モーニングKC)
この四巻では、これまであまり掘り下げられる事のなかった、
というか作中の流れから殆ど注目されなかった
キャラの人間チックな部分が顕わになります。
1〜3巻は所謂ぶっ飛んだ性癖をあられもなくストレートに
描写していたため、変態的な要素が主軸に描かれていたと思います。
つまりキャラクターはテラーでしかなかったのです。
しかしこの巻から徐々にキャラクターの日常から過去や人間関係が
明らかと成り、一話一話がストーリー性を帯びてきます。
といってもやっぱり変ゼミ。
随所に思わず「うっ…これはちょっと…」となるような、
もしくは「ギクッ!!これ、私も考えた事あるわ…」というような
冷や冷やもののネタが満載となっています。
あと個人的に、アンナがこれからどういう位置づけになるのかが気になります。
男を眼で虐げるドSキャラはこれまで色んな漫画で散々見てきたので
欲を言えば、ここぞという場面で主人公の松隆以上に
とんでもない被害を被るトホホ系キャラで突き進んでほしぃと思いました。
変ゼミ 1(Blu-ray)
紳士の方・愛好家の方にはおすすめの作品です。
アニメーション制作はXEBEC。
15分アニメは適当な出来栄えの作品が多いのですが、
この作品は非常に丁寧なつくりです。
アニメ作品として非常に好感度の高いです。