エクリプティカ
発売当初、BURRN!のアルバムレビューでは高得点であり、大物BAND登場!などのキャッチコピーがあれば、買わずにはいられなかった。ドキドキしながら再生ボタンを押した事を覚えている。のっけからエネルギッシュで疾走感溢れる「BLANK FILE」から始まり、途中バラード調の曲も含めながら、最後まで一気に聴かせてくれる。疾走感溢れる曲も、ただただスピードでゴリゴリ押し捲るわけではなく、緩急付けているところが、非常ににくい。しかし、パワーメタルであるので、非常に速い。トニー・カッコ(Vo)の声が非常によく、低音から高音まで心地よい声を奏でてくれる。またヤニ・リマイネン(G)も素晴らしい演奏をしてくれ、まだ19歳という若さで、恐ろしいまでの速弾きを聴かせてくれる。さすがイングヴェイの崇拝者ではある。アルバム全体としては、非常にバランスがよく、これは後に名盤になるに違いなく、どの曲も素晴らしいポテンシャルを持っており、「この曲!」というのは選べない。ジャケット同様、美しさの中にヘヴィさも兼ね備え、ホントに恐ろしい新人が出てきたものだ。HR/HMファンには、是非聴いてもらいたい作品である。
ライヴ・イン・フィンランド(初回限定生産) [DVD]
「ザ・デイズ・オヴ・グレイズ」発表後に行われたワールド・ツアーの中から、ソナタ・アークティカの母国フィンランド国内でのライヴの模様と、ドキュメンタリー、メイキング、PV等の特典映像類、更には同公演の音源のみをダイジェストで収録したオーディオCDも付いて、DVDとCD各2枚、計4枚のディスクがパッケージされた豪華なライヴ作品。
まずDISC1は本作のメインとなるオウル公演の映像で、「フラッグ・イン・ザ・グラウンド」より幕を開け、曲中に吹き上がる火柱や火薬の爆発といった特殊効果を使用した見せる演出が取り入れられてライヴは進行する。「ブランク・ファイル」「ヴィクトリアズ・シークレット」等のスピード・ナンバーを挟みつつ、「ウ二ア」で披露した新たな音楽性を継承した作風の「ザ・デイズ・オヴ・グレイズ」からの曲を中心にセット・リストが構成されている為、収録されている各楽曲への思い入れ度はご覧になる方々それぞれに違うかも知れないが、そういった難しい事を考えずに鑑賞すると、過去のライヴ作品よりも演奏、パフォーマンス共にソナタ・アークティカのバンドとしてのレヴェルが格段に上がっているのが充分に判る。エリアス・ヴィルヤネン(g)とヘンリック・クリンゲンベリ(key)の火花散るソロの掛け合いは必見であるし、アンコールでメンバー全員が火を囲んで行うアコースティック・セッションも新鮮な試みである。ケミ公演を収めたDISC2は野外ステージで、ライヴでは取り上げられる機会の少ない「ドロー・ミー」を演奏しているのが貴重。続くミラノの映像はアコースティック・コーナーを抜粋した映像だが、会場のPA卓辺りからスタッフが固定カメラで撮影したと思わしき映像。全編においてMCのほとんどをフィンランド語で行っている為、日本のファンにとっては新鮮に映るのではないか。
CDは基本的にDVDに収録された演奏の音源を使用しているようだが、DVDには収録されていない「エイス・コマンドメント」が聴ける。オフィシャル版という事で各曲、演奏やヴォーカルに多少の手直しや差し替えを行っているかも知れないが、ソナタ・アークティカの衝撃デビューをリアルタイムで経験し、ミニ・アルバム「サクセサー」に収録された初期のライヴ音源で初めて生演奏を耳にし、「このバンドって、いつもこんなに雑な演奏しているのか!?」と苦笑いした世代のファンにとっては、現在のソナタ・アークティカの演奏技術の高さが手に取る様に判るし、最近ファンになったという方にも是非、見ていただきたい豪華なライヴ作品となっている。
ストーンズ・グロウ・ハー・ネーム
作品を重ねるごとに、UNIA以降では特に、仰々しいアレンジと プログレッシヴな作風を深めていった彼らですが、
今作では曲構成もシンプルになり、楽器の重ね方も「Winterheart's Guild」の頃ぐらいまで減っています。
そしてそれによって、最近の彼ららしいヘヴィなギター、
北欧らしさの中にも暖かみがあってメランコリックなキーボード、そしてトニーの歌の上手さが際立ち、
今作のサウンドプロダクションはかなり好きです!
肝心の曲の方ですが
やはり初期のような勢いや疾走感、強烈なフックのメロディはないのですが、
それを求めずに聴くと、なかなか良いアルバムだと思います!
速い曲も一応、3曲入っていますが、
M3はアリ・コイヴネンに提供した曲のセルフカヴァー、
M8はフォーク/トラッド色が強い異色曲(でも最近はライヴの終盤の定番みたいですが)、
M11はかなりのスピードとヘヴィネスながらも組曲の一部…と
僕は全部好きですが、いわゆる疾走曲を求めているファンには不要のアルバムかもしれません。
ちなみに前作もそうでしたが、強いて言うなら最も初期っぽい曲は日本盤ボーナストラックかと思います(笑)
速い曲でなくても良いという方は、
東北大震災のニュースを見たことも歌詞に影響を与えたというM7が ヘヴィかつメランコリックで、メロディも感動的。おすすめです!
Stones Grow Her Name
フィンランドのシンフォニックメタル、ソナタ・アークティカの2012作
初期のメロスピ路線から脱却、5th「UNIA」からは普遍的なハードロック路線へと接近し、
7作目となる本作もその延長上のサウンドだ。ミドルテンポを主体に、美しいシンセアレンジと
ときにQUEEN的でもあるキャッチーなコーラスハーモニーで聴かせるメロディックなHRは
いうなればアリーナロック的な大衆性を含ませて、より多くのロックファンに楽しめるようになった。
3、4分台を中心にしたコンパクトなメロディアスハード風味であるが、そこにしっかりとフィンランドらしい
叙情性を感じさせてくれるのもさすが。前作のプログレ風味も若干残していて、メタルファンでなくとも楽しめる
メロディックな好作だ。初期のファンからの評価はさておき、このクオリティのバンドはなかなかいないと思う。