落陽 [VHS]
日活映画会社を倒産に追い込んだ映画と言われているが、今見ると悪くない。
甘粕正彦をモデルにしたような主人公が旧満州で活躍する。
杜月笙や石原莞爾など実名と山見(里見)など仮名の人物もある。
ただ満州国という歴史的国家が、実は日本の傀儡だったことを知る人には
興味深い映画である。
アヘンに日本軍がどうかかわったを描いたことが、この映画の命取りになった可能性がある。
しかし中国観光映画として見ると、ロケの素晴らしさや音楽で価値高い映画と思う。
サヨナライツカ [DVD]
皆さんの評価を読んで、まずはレンタルで見ました。原作を読んだのが随分前で記憶が薄れつつあるせいか、純粋に映画として見ることができ、予想よりもよかったと思いました。
ストーリーは、同じく辻さん作品のフィレンツェを舞台にした「冷静と情熱のあいだ」の大人版inバンコクと言ってよさそうです。オリエンタルバンコクのオーサーズスイートの、サマセットモームの部屋の中が見れます。異国情緒と王道のラブストーリーの組み合わせで、現実逃避にはもってこいです。
「冷静」は若者の美しい10年愛でしたがこちらはなんと25年愛! 時間と距離だけでなく、結婚や大人の分別も超えて人を突き動かしてしまう、強い想いの物語です。
いくつになっても少女性の残る中山さん、老けメイクでも少年顔の西島さんのキャストも賛否両論あるようですが、単なる中年の不倫物語にならなかったのは主演の二人の清潔感によるところが大きいのではないでしょうか。私はナイスキャスティングと思いました。
映画版には原作にないストーリーが含まれています。石田さん演じる光子がなんと婚約中に沓子と直接会っていて、結婚後も夫の心に沓子がいるかもしれないのを知っていて25年間結婚生活を送ってきた演出になっています。
死ぬときに愛したことと愛されたことのどちらを思い出すか?がこの映画のテーマですが、「わたしは愛したことを思い出す」と言う光子の言葉をより深く感じる演出だったと思います。
ついに沓子のもとへ行ってしまう豊に、引き留めるのではなく25年前に沓子と並んで撮った写真をこっそり渡す光子。バンコクへ向かう飛行機の中で色褪せたその写真を見つける豊。タイトルの「サヨナライツカ」は、いつか沓子のもとへ去っていくかもしれない未来の豊への、本当は行かないでと願う光子からの別れの言葉と解釈しました。
豊と沓子の関係ももちろん素晴らしいですが、沓子と光子のどちらの生き方が真に幸福なのか、光子の視点で見るとまた別の味わいがある作品だと思います。
アンフェア the answer DVDスタンダード・エディション
ネット上では本作品の酷評がありますが、何度も繰り返し観ると
どんどん味が出る作品となっており、リピート鑑賞に耐える内容です。
エンドテロップ突入前に、怒涛の伏線回収映像が用意されてあるため、
是か非でも2回目をリピート鑑賞せずにいられなくなると思います。
国家機密の入ったUSBメモリーの行方を追う推理を観客ができる
仕様となっているため、ハッキリとした描写こそありませんが、
想像で楽しめる余地を残してある作品なので、そこが良かったですね!
5人目の磔にされた被害女性が空気だったり、香川照之のIT技術力が
神がかっていたりと変な部分もありますが、ラストではテーマにもある
「アンフェアにはアンフェアを」の言葉通り、篠原涼子が悪党どもを
逆に騙し返してギャフンと言わせるカタルシスが用意されているため、
非常に気持ちよく映画を見終えることができる作りになっています。
ドラマ版も香川照之の作戦が事件解決に繋がっていますが、それは
本作品でも踏襲されており、基本的にドラマ版と重ねてある感じです。