オフィチウム
ヤン・ガルバレクの深いサックスの音をきくと、どうしても北欧の厳しい自然を連想してしまう。崖に立ち、氷山に向かっているような…でも実際はそんな陳腐な事じゃなくて、何か普遍的なものを探り、志向する音楽に違いない。アメリカのジャズにはエンターテインメントの伝統、闘争の歴史がある。そこへいくと北欧のジャズから出発したアーティストたちには、純粋な音の旅を通して自然の原理を探って行くような、浮世ばなれして飄々とした感じがある。だからガルバレクとヒリヤードの顔合わせは、ファンにとっては意外というより至極納得のいくものだった。完璧なハーモニーがつくるドローンとサックスの響きが、喜怒哀楽を越えた涙を誘う。
カウンターテナーの世界
ブックレットにはカウンターテナーの歴史的経緯から出演者の
簡単なプロフィールまで、比較的詳細にまとめられていて、初
めての方にはとてもわかりやすいと思います。
何よりもお薦めなのはいろいろな演奏者の録音が入っているこ
とで、カウンターテナーの発声の違いというか、色の違いがよ
くわかることです。これでお気に入りのアーティストを見つけ
てCDを探すのもいいかも知れません。
テノールとの二重唱や、テノールの歌ったカウンターの曲など
も入っており、その辺りも興味深いところ。個人的にはアサワ
が入っていないのが惜しいです。アサワは別に買いましょう。
中世ルネサンス音楽への招待状
このアルバムの中の「くすぶった男が」という曲には 正直笑えた。
「くすぶった」とは阿片を飲んでいるという光景らしい。とにかく 低い声で 7分もの間なにやら もごもごと歌が続く。ライナーノートにも「中世の音楽の 知らざれる一面」と書いてあるが こんな音楽があったとはびっくりした次第である。
ルネサンスの音楽を最近聴くようにしている。単純だが その単純さに美しさがある。ルネサンスを聞き始めると 以前シンプルだと思ってきたバッハの「技巧」も良く見えてきた。
これからもゆっくり聴いていきたい。