NHK「美の壺」ブルーノート・コレクション
日本の伝統美とモダン・ジャズを上手く調和させているのが、案内役の谷啓さん。高橋美鈴アナウンサーの落ち着いた潤いのあるナレーションも素敵ですね。
オープニングテーマが「モーニン」ということで、このブルーノート・コレクションの発売ということになったのでしょうが、番組をみていると意外とブルーノートは使用されてないような気がします。
ビル・エヴァンスや50年代のマイルス、MJQなどちょっと知的な香りのする曲がよく使われてるんじゃないかと思うのですが・・・。
ちなみに収録曲は、
1.モーニン / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ
2.サテン・ドール / ザ・スリー・サウンズ
3.4月のパリ / サド・ジョーンズ
4.アス・スリー / ホレス・パーラン
5.バット・ノット・フォー・ミー / ケニー・バレル
6.イエスタデイズ / ポール・チェンバース
7.トゥルー・ブルー / ティナ・ブルックス
8.星影のステラ / デューク・ピアソン
9.ニカの夢 / ホレス・シルヴァー
10.枯葉 / キャノンボール・アダレイ マイルス・デイヴィス
11.ブルース・マーチ / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ
12.スター・ダスト / ルイ・スミス
ワン・ナイト・ウィズ・ブルーノート [DVD]
1985年新生ブルーノート誕生記念として2月22日に行われたコンサートを収録したもので、当時は4枚のアルバムと2本のVHSテープが発売されたが、これは、そのVHSに4曲追加され、全14曲120分楽しめるというお得なDVDです。登場するアーチストは、黄金時代に活躍した、アート・ブレイキー、フレディ・ハバード、ジミー・スミス(先日惜しくも亡くなってしまいましたね)、ハービー・ハンコック始め、スタンリー・ジョーダンなどの若いアーチストまで総勢28名が有名曲をこれでもかという位披露してくれます。トリは、セシル・テイラーのソロ・ピアノによる「ポントス・カンタドス」で締めくくりますが、この演奏はセシル・テイラーらしく、凄い演奏です。彼の映像は、他では殆ど見られないので、貴重です。ジャズファンなら必携です。
Cats
トミー・フラナガン (Tommy Flanagan 1930年3月16日〜2001年11月16日) は、アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト生まれのジャズ・ピアニスト。リーダー作も魅力があるが、特にサイドに付いたアルバムに優れた演奏がある。例えばロリンズのサキコロ、コルトレーンのジャイアント・ステップ、ベニー・ゴルソンのブルースエット、ウェスのインクレディブル、ケニー・バレルのイントロなど。演奏は極めて自己顕示の少ない緻密で確かな技術が定評である。また共演者と対立しない温厚な性格も温かな音となり大きな特徴といえる。アルバムは1957年の録音で何とも豪華な共演者が勢ぞろい、優しく温かい陽だまりの様な演奏にリラックスする。ジャズ喫茶全盛の頃、このピンクの猫のジャケットはよくかかった。激しいバップやフリーの合間にこれがかかると緊張感から開放され和んだ思い出がある。猫はジャズマンのことをキャットと呼ぶのでこういうデザインになったとされる。
(青木高見)
Round Midnight
実は1972年このレコード録音後にバレルはこのメンバーを引き連れて来日しここ函館市でも市民会館小ホールに於いてコンサートがありました。37年前の事でも今でも目に焼き付いていて懐かしい思い出です。その時初めて映画俳優も顔負けの美男子で本物のジャズギタリストが本物のギブソンL−5ニューヨーカーモデルを弾く音世界を体験しあまりの美しい音色に気が遠くなりそうでした。バレルはこの頃からサウンド重視の人です。このCDはその時のステージを彷彿とさせる内容でダンディー、ハードボイルド、粋、いなせ、気品、インテリジェント、などの形容詞ガそのまま衒いもなく当てはまる彼の世界を堪能して下さい。
ワン・ナイト・ウィズ・ブルーノート [DVD]
このDVDの価値は、セシル・テイラーの「ポントス・カンタドス」一曲にあり! 他はどうでもいい! 断言しちゃうけんね!
いやまあ、お仕着せのスーツ姿で、おなじみの曲をソツなくこなして、お祭りムードを盛り上げてくれる「ブルーノート」レーベルおなじみの面々も、そこそこの演奏はしちょりますよ。それはワシも認める。しかし。しかしだ。
最後に登場するセシル・テイラー大先生の圧倒的ソロ・パフォーマンスの前に、そんなもんフッ飛びますわ、ほんと。
弾き終えてニコリともせず、傲然たる姿勢で嵐のように歩み去る大先生の姿は、ハードボイルドそのもの。
これこそジャズ。ジャズ、ここにあり。よくやった、セシル! エライ!
おいおい、泣いてるよ、このおやじ。