“It”(それ)と呼ばれた子 幼年期 (ヴィレッジブックス)
一日で一気に読んだ本がタイトルの本である。
すでにベストセラーとなり、センセーショナルな実際にあったことに基づいた話だけに、ストーリーの内容は具体的かつ時には読み進めるのもつらいものがあった。しかし、何よりもこの本の衝撃的なところは、幼児虐待を受けたその本人が書いたことだろうか。
「幼年期」編を読んだだけだが、これから「少年期」「青年期」と成長していくにつれて、どのように主人公のこころが動いていくのか、そして何がきっかけになって、その試練と思えるような出来事を克服していけるのかは、ぜひとも知りたいところである。
誰でも、本に書いてあるような体験をすると、果たして生きていこうとする希望をそれでももち続けることができるのだろうか。主人公はそれでも敢えて生きていくことを、幼い心の中に誓った。なぜこのような体験をしなければならないのか、時にはそれが、まるで自分の責任であるかのように自分を責めることもあった。
「心の底では、誰よりも何よりも自分のことをいちばん憎んでいた。この身に降りかかることも、まわりで起こることも、何もかも自分のせいなのだと思うようになった」「父さんが母さんが幸せになることを神様がお望みなら、ぼくは死ななくちゃならない、と。それでもいい、と思った」
話は次の「少年期」へと続いていく。